【完結】隣国のモフモフ騎士団長様、番ではない私でよろしいのですか?


 数十分後ーー。

 『王都観光案内所』を出て、宿に向かおうとしていた時。

「.....ふっ、ぅ。ぐす」

「......あら?」
 何処かから泣き声が聞こえた。
 声のする方へ足を進めると少し離れた道の路地の入り口で、顔を俯け膝を抱えて蹲る小さな影を見つけた。

 吹き抜ける風に、淡い金色の髪がサラサラ靡いている。

 三角耳はぺたりと伏せられ、ふわふわで毛艶のいい尻尾が心細さに耐えるように身体に巻きついている。犬科の獣人の子供のようだが.....迷子だろうか。

「どうしたの?」

 そばまで歩み寄ると、なるべく怖がらせないようそっと問いかけた。

「......え?」

 ピクリと体全体が揺れ、顔が上向く。鼻をズビリと鳴らして、金色の瞳をたたえた目は赤く泣き腫らしていた。一人の恐怖と不安に耐えていたのだろう。

 見たところ男の子だ。
 所々汚れてはいるが、上等な生地であつらえた服を着ていて、貴族の子供とあたりをつける。

「迷子かな?お姉さん怪しい者じゃないわ。あなたが心配で。良ければ、お話し聞かせてくれないかしら?」

「.....うっうっ。はは、うえ~」

「ああ....っ」

 母親の姿が過ったのか、一瞬止まっていた男の子の涙が再びぶわっと溢れ出した。



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