【完結】隣国のモフモフ騎士団長様、番ではない私でよろしいのですか?
◇
ーーどれくらい経っただろうか。
沈黙が落ちて静けさを取り戻していた場に、ずっと抱えられたままのマーナガルム様の声がこだまする。
「もうっ!おじう...ぇぐっ」
「しっ。黙って下さい、マーナガルム様」
「............?」
何か言いかけたマーナガルム様の口に、男性がガバリと大きな手でストップをかける。何故黙らなければならないのか、納得いかない彼はふくれっつらだ。
「......ところで。また王妃様の香水を勝手に使いましたね?」
だが、次に放たれた言葉にギクリとそっぽを向いた。イタズラとは香水のことだったのか。
確か、獣人国でつくられる香水は有名だ。
武力に秀でた獣人たちだが、なかには手先の器用な種族や特に鼻が利く種族もいて、その者達が作り出す工芸品や香水はわざわざ他国から商人が買い付けに来るほどの品質らしい。
「王妃様の香水を持ち出して、方々に撒いたでしょう。しかも大量に。皆、鼻がおかしくなりそうだと泣きながらマーナガルム様のにおいを追っていたんですよ?護衛たちは顔が真っ青でしたし。......まさか城まで抜け出していたなんて。元気なのはいいですが、ほどほどにしないと陛下がお怒りになります」
「うっ.....ごめんなさい」
「はい。城へ戻りましょう。お二人がとても心配しておられます」
マーナガルム様にとっては雲行きが怪しくなってきたが、二人が城に戻る空気に、私は胸を撫で下ろす。
「では、私はこれ....で!?」
そうして、くるりと背を向けようとしたら男性の骨ばった手にガシッと手首を掴まれた。
ーーどれくらい経っただろうか。
沈黙が落ちて静けさを取り戻していた場に、ずっと抱えられたままのマーナガルム様の声がこだまする。
「もうっ!おじう...ぇぐっ」
「しっ。黙って下さい、マーナガルム様」
「............?」
何か言いかけたマーナガルム様の口に、男性がガバリと大きな手でストップをかける。何故黙らなければならないのか、納得いかない彼はふくれっつらだ。
「......ところで。また王妃様の香水を勝手に使いましたね?」
だが、次に放たれた言葉にギクリとそっぽを向いた。イタズラとは香水のことだったのか。
確か、獣人国でつくられる香水は有名だ。
武力に秀でた獣人たちだが、なかには手先の器用な種族や特に鼻が利く種族もいて、その者達が作り出す工芸品や香水はわざわざ他国から商人が買い付けに来るほどの品質らしい。
「王妃様の香水を持ち出して、方々に撒いたでしょう。しかも大量に。皆、鼻がおかしくなりそうだと泣きながらマーナガルム様のにおいを追っていたんですよ?護衛たちは顔が真っ青でしたし。......まさか城まで抜け出していたなんて。元気なのはいいですが、ほどほどにしないと陛下がお怒りになります」
「うっ.....ごめんなさい」
「はい。城へ戻りましょう。お二人がとても心配しておられます」
マーナガルム様にとっては雲行きが怪しくなってきたが、二人が城に戻る空気に、私は胸を撫で下ろす。
「では、私はこれ....で!?」
そうして、くるりと背を向けようとしたら男性の骨ばった手にガシッと手首を掴まれた。