【完結】隣国のモフモフ騎士団長様、番ではない私でよろしいのですか?
 ーー翌朝。

「ついに、来てしまったわ」

 朝になってしまった。
 冷静になって考えてもこの状況はどうもおかしい。

 そもそも男性と出かけたことなんて一度もないのに大丈夫なのだろうか。

 昨日だって。初めて会った男性に触れられたり、エスコートされたり。その時は目一杯で気づかなかったが、一人になって漸くことの重大さに気づいて悶えたものだ。

 自分の正体を隠すことに気を取られていたのもあるが、完全にフェンリル様のペースにのまれていたのだろう。

 .....優しかったな。

 案内や宿の話をしていた時は強引さに驚いていたのに、帰りに受けた彼のエスコートはひどく優しさに溢れていた。

 まるで自分が大切な存在にでもなった気分だ。

 考えていると、彼の嬉しそうな笑顔が浮かんだ。パタパタと手を振って霧散させる。

 だめだ、フェンリル様といるとペースが乱れる。

 ちらりと時計に目を遣る。もうすぐ時間だ。

 困ったな.....本当に今から迎えに来るのだろうか。

 どんな顔をして会えばいいのかわからなくて、ソワソワと意味もなく部屋の中を歩き回ってしまう。

「...........」

 ふと立ち止まって部屋の姿見で自分を映す。
 今日は行く場所に合わせてパンツスタイルだ。
 シンプルな白シャツを着て、グレーのパンツと底の低い茶色のブーツを履く自分の姿に、苦い気持ちが込み上げる。
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