【完結】隣国のモフモフ騎士団長様、番ではない私でよろしいのですか?
.....やっぱり断ればよかった。こんな地味な格好じゃ、フェンリル様も一緒に歩くのが嫌なんじゃないかしら。
殿下に散々地味だと言われたことを思い出して、身を固くした。
コンコン。
と、悩んでいるといつの間にか時間が来ていて、ドアをノックする音がした。
....フェンリル様が嫌がるなら、丁重に案内を辞退してひとりで行けばいいのよね。
そう思ってドアに向かったがーー。
結局、私の心配は杞憂に終わった。
ドアを開けた私を見て「君はどんなスタイルも似合うな」と、彼がやさしく笑ってくれたから。
◇
「本当にここでよかったのか?」
「はい、ここが良かったんです」
「そうか」
私たちは街ではなく、王都から少し離れた場所にある森に来ていた。サクサクと楽しい音を響かせて、土や落ち葉を踏みしめて歩く。
これは私の希望で、今回の旅の目的の一つだった。
武力、工芸品、香水と様々な特色をもつユービィスト王国は緑にもあふれた国だった。
隣国でありながら自然の豊かさでは、モーリャント王国とは比べものにならない。
王都を囲んで東西南北と四つの森があり、それぞれにこの国にしか自生していない植物がたくさんある。
私が来たかったのは、南に位置する森。
本で読んで知ったある植物を探しに来た。
「その本、持とうか?」
「いいえ、大丈夫ですわ。これは私が持ちたいのです。色々と調べものがしたいので」
「なるほど。わかった」
私が持つ分厚い本を指差して彼が気遣ってくれた。
「それは植物の本?」
「はい」
「何を探してるの?」
「太陽の雫っていう植物なんです。そろそろ種を落とす頃なので、採取したくて」
ユービィスト王国の法では、今のところ採取した植物の他国への持ち出しは禁じられていない。
モーリャント王国も、種子に関しては特に持ち込みに規制はないため、採取して持ち帰りたいと考えていた。