【完結】隣国のモフモフ騎士団長様、番ではない私でよろしいのですか?
「太陽の雫....聞いたことないな」
「そうですね。一般的に知られていませんし」
「うむ」
「これなのです」
私は歩きながら分厚い本のページを開いて指で示す。
そこに描かれている赤い花を咲かせる細長い木。幹はつるりとしていて、手触りが良さそうだ。
「へえ」
「この木は少ない水でも育ち、成長も早い。土壌も選ばず、比較的生育不良も起こりにくい。生命力にあふれた木なのです。これだけ強い植物は、珍しいのですわ」
モーリャント王国は水不足で南部は砂漠化も進んでいる。太陽の雫が、砂漠化した地域の緑化のヒントにならないかと興味を持った。
緑化すれば土地の保水力も上がる。回り回って水不足の改善にも効果が期待でき、好循環だ。
遠くへ行くなら何がしたいか考えた時、この植物が思い浮かんだ。
両親に迷惑をかける自分を情けないと思うなら、間接的にでも両親のためになることをすればいい。
「...........」
そんなことを考えていたら突然フェンリル様が黙った気配に、ハッとした。
.....こんな話聞いてもつまらないわよね。
「君と話していてもつまらない」と不快に歪む殿下の顔が過った。
反射的に本を握る手に力が入り、視線が俯きかけたときーー。