【完結】隣国のモフモフ騎士団長様、番ではない私でよろしいのですか?
「ミーナはすごいな」

「え?」

 目の前のフェンリル様は目を細め、やわらかに笑っていた。蔑みや嘲笑の色は微塵もない。

 ただ純粋に感心して、褒めてくれている。
 そう感じる、あたたかで優しい笑みだった。

 ふわふわと後ろで振れる尻尾が視界にうつる。

「君は植物に関して博識だ」

「......本で、読んだことがあるだけですわ」

 声が微かに震えた。

「うむ。その本もかなり読み込んであるのが一目でわかる。もしかして、いつも持ち歩いているのか?」

 私はゆっくり頷いた。

「そうか」

 ーー君は本と植物が好きなんだな。

 フェンリル様が目尻を垂れて言った言葉が、絡まった糸の隙間にじんわり沁みる。

「.....好きです」

 ーー私は本と植物が.....とても好きなのです。

 気づけばするりと。素直な気持ちが滑り出ていた。

「そうか」

 唇は弧を描いたまま満足そうに頷く彼を見て、なぜだか喉の奥が突っ張った。

 心を温かなものが包み込み、そっと傷を撫でていく。

「これはなんていう植物なんだ?」

「あ....こ、これはーー」

 その後、私たちは無事、太陽の雫を見つけて種子を採取した。
 途中、珍しい植物をたくさん見つけて足を止めても、彼は嫌な顔ひとつしない。一緒に観察し、葉や種子を採取して、時々彼が冗談を口にして笑う。

 そんな穏やかな時間が流れた。


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