【完結】隣国のモフモフ騎士団長様、番ではない私でよろしいのですか?
森の入り口まで戻ってきた頃にはもう昼はとうに過ぎていて、お茶の時間に近かった。
「この辺で座らないか?喉が渇いただろう。サンドイッチやお菓子も持ってきたからお茶にしよう」
そう言って森の入り口で待たせていた馬に下げていた籠から、色々と取り出す。
ここは広場になっていて、合わせて持ってきていたらしい大きめの敷物を広げてくれる。
風が吹いてサラサラとフェンリル様の髪や尻尾が靡く。
やっぱり綺麗ーー。
陽の光が反射する髪も尻尾も。
穏やかな横顔も。
目が合えば細められる瞳も。
「気持ちいいな。ピクニックみたいだ」
「はい、すごくお天気もいいですね」
今まで枝の隙間から見えていた青空が、私たちのうえいっぱいに広がっていた。
フェンリル様は敷物に座って、ボトルに入れた温かな紅茶をカップに注いで手渡してくれた。
お皿には「どれがいい?」とひとつひとつ尋ねながら、カップケーキやサンドイッチ、フルーツなどを取り分けてくれる。
一口カップケーキを頬張って、紅茶をこくりと飲むとホッとした。
「それにしても、もうこんな時間か。どうりで腹が空くわけだ」
サンドイッチをパクつきながらフェンリル様がしみじみ言った。
「ええ、本当に」
「あっという間だった。君と話すのは楽しいな。時間が足りない」
「.............」
そう言ってふっと笑う。
まただ。この人はどうしてこうも、私を喜ばせる言葉をくれるのだろう。