【完結】隣国のモフモフ騎士団長様、番ではない私でよろしいのですか?
「今日はどこに行きたい?」

「夜市を見てまわりたいです」

「夜市か。わかった。少し遅くなるが大丈夫か?」

「はい。フェンリル様は大丈夫ですか?」

「ああ、問題ない」

 翌日。私たちは街を歩いていた。

 街歩き用にと選んだ、襟付きのワンピースの裾がふわふわ揺れた。フェンリル様は襟付きのシャツにパンツスタイル。

 約束した時間に迎えに来てくれたフェンリル様と、今日の予定を決めていく。

「夜市まではまだ少し時間があるな」

 そう言って思案顔になったフェンリル様は、何か思いついたのか、私の手を引いていく。

 入り組んだ路地をいくつか曲がって着いた先に、大きな煉瓦造りの建物が建っていた。

 薄い色合いのレンガでつくられた壁には緑の蔓が伸びていて、レトロな雰囲気だ。

「ミーナは植物が好きだろう。もしかしたらここも喜ぶんじゃないかと思ってな」

「うわぁ。すごく大きな花屋さんですね」

 透明のガラス扉越しに、店内が見えた。
 色とりどりの花がそこかしこを彩っている。

「ああ。ここは王都いちと言われてる。種類も豊富だ。気にいるものがあるかもしれない」

「はいっ」



 中に入ると、ふわりとたくさんの花の香りがした。

「綺麗....」

 うっとりと店内を見回す。
 適切に管理された花は、元気に花びらを広げている。

 私はフェンリル様と並んでゆっくり店内を回った。

 しばらく進んだところで足を止める。
 奥のある一角に視線が釘付けになった。そこには様々な形の葉をピンと張るハーブが、ずらりと並んでいた。

 フェンリル様も同じ場所で足を止め、私とは違う一角を見遣った。

「これ.....」

「ミーナ、これ.....」

 声も同時にあげる。私は言いかけた言葉を一旦のみこんで、フェンリル様の指さす先に視線を向けた。

「君にプレゼントしたいのだが。君の瞳と同じ色でとても綺麗だろう?」

 そこにはラベンダー色の花が咲いていた。
 とても綺麗だ。瑞々しくていい香りがしてーー。

「.....すごく綺麗ですね」

 でもーー。
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