【完結】隣国のモフモフ騎士団長様、番ではない私でよろしいのですか?
「お嬢さん、お嬢さん。その仮面、素敵だねえ。どこの店のだい?ほう.....こりゃあ、細工の腕がピカイチだ」
「あら、ありがとう。これは祖母にもらったものなの。どこのお店のものかはわからないわ、ごめんなさいね」
露店でありながら見事な商品を並べるお店で、兎獣人らしき店主から声がかかる。
どうやら私のつけている仮面に反応してくれたらしい。さっき宿でカバンに入れたもの。グリーンの顔半分を隠す形で、繊細な模様が彫られていた。
子供の頃、父方の祖母から譲り受け、旅に出る時忘れずにキャリーケースに詰め込んだ。ユービィスト王国の夜市は仮面をつけるのが一般的だと学んでいたから。
隣にいるフェンリル様も顔半分を覆う黒の仮面をつけている。
「そりゃ残念だなぁ。ああ、もしダンスに参加するならあっちの広場だよ」
「ええ、行ってみるわ」
ほら、今も。夜闇を行き交う獣人たちは、仮面をつけて非日常を味わっている。何故仮面なのか詳しい理由は知らない。
だが、この夜市ではそれが習わしで、露店の立ち並ぶエリアを奥まで進むと広場があり、そこで獣人の若者たちはこぞってダンスを踊るという。
その光景は、さながらモーリャント王国の仮面舞踏会の様だと実際を見た経験のある祖母が教えてくれた。
「もう始まってる頃だろう。行ってみるか?」
「はいっ」
私たちはさらに奥を目指して歩いた。
◇