【完結】隣国のモフモフ騎士団長様、番ではない私でよろしいのですか?


 ザリ....。



「わぁ.....っ」

 
 広場の隅の楽隊が奏でる陽気な音楽。自然と身体が動き出すテンポよく跳ねる音が、気分の高まった身体にちょうどよく響く。

 高い音程と低い音程が混じって届く笑い声に、

 色とりどりの仮面をつけ手を取り合って踊る獣人達。揺れる尻尾やピクピク動く耳。

 夜空に朧げに浮かぶ満月とガラス細工みたいに煌めく星。

 そして、

 広場の真ん中に陣取るキャンプファイヤーのあたたかな炎が、赤やオレンジに揺らめいている。

 生きた炎はパチパチと火の粉を飛ばしながら、高く積み上げられた薪の囲いの中で若者達と共に踊っていた。

「素敵.....」

 思わず口からほうっとため息が漏れる。

 これが見てみたかったのだ。
 この旅の二つ目の目的。

 昔、祖母から話を聞いてからずっとみてみたいと思っていたユービィスト王国の特別な夜のダンス。

 なるほど。これは確かに仮面舞踏会だ。
 しかも、自然という開放感に満ちた場所で踊るだなんて。思っていたよりずっとずっとドキドキする。

「......私も踊りたい」

 いつも舞踏会に参加しても壁の花と化していて、踊ったことなんてない。一応婚約者はいたけれど、殿下はずっと他の女性をエスコートしていたし。

 もともとダンスは苦手だったからそれでよかった。踊りたいと思ったことも一度もない。

 でもーー。
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