【完結】隣国のモフモフ騎士団長様、番ではない私でよろしいのですか?
番をなくした獣人がどれほど抜け殻になるか、同じ獣人なら皆知っているということだろう。
人間の私は『番』という存在がいること自体、今回やっと学んだのだが。
辛い結婚になるとわかっていて、飛び込む女性はなかなかいない。いくら相手が王弟殿下だとしても。
「ですがもしかすると.....王弟殿下とは白い結婚になるかもしれないのですよ......?」
リリアが唇をくっと噛んだ。
「白い結婚には.....なるでしょうね。きっと私は、彼に愛されることはないわ」
「お嬢様....」
「きちんと理解しております。王弟殿下の心には、これからも番の方が棲み続けていくのでしょうから」
「.........っ」
心配をかけたくなくて、出来うる限り綺麗に笑った。
私はうまく笑えているだろうか。
リリアが小さく息を呑んだのがわかった。
私は今から三日かけて、海を渡る。
ヴォルフ陛下より相談を受けた《《テリウェル》》・モーリャント《《新国王》》が、直々に我が家に打診してきた婚姻。
半年前、もう二度と会わないと.....会えないと思っていた相手、フェンリル・ユービィスト王弟殿下との婚姻を結ぶために。
『番をなくし悲しみに暮れている』と噂の彼と、愛のない結婚をするためにーー。