【完結】隣国のモフモフ騎士団長様、番ではない私でよろしいのですか?

 つまり、トランドル男爵令嬢が踏み潰したものは、ヴォルフ・ユービィスト国王夫妻が、留学する娘、シルヴァ王女に贈った大切なものだった。

「はっ、緊急会議?打開策?笑わせるな。あるわけがない。こんな会議....いくら続けたって、あのユービィスト王国の軍を討つことなどできないさ.....っ」

 ぽつりと、誰かが吐き捨てるように漏らす。

「どうしてくれるんですか!王都には、我が国には....大切な家族が住んでいるんだ!私の家は娘が生まれたばかりで.....あなたがた王族の軽率な行動でっ、家族に危険が及んだら.....っ」

 心からの叫びを受け止める国王は、全身に絶望感を漂わせていた。

 どこから間違えたんだ。

 息子には厳しくしていた。
 王族としての誇りを持つよう教えていたし、幼い頃からお前は特別な存在なのだと刻み込んでいた。

 自分の考えに自信を持てと叱咤していたし.....その甲斐あって王族として揺るがぬ心を持った男に育ったと自負していたのに。

 今となっては....ただ、独りよがりの馬鹿息子に育ててしまったという後悔しかない。

 結局ーー。
 ユービィスト王国の軍が攻め入るまでの5日間、王城に缶詰になりながら、国王、貴族、大臣、皆で考えても戦を避ける方法も軍から逃れる方法も見つからなかった。

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