【完結】隣国のモフモフ騎士団長様、番ではない私でよろしいのですか?
以前よく飲んでいた紅茶より淡い色合いのお茶を一くち、口に含む。喉元を通ってじわりと身体にしみこんでいく心地がした。
「.....旦那様、顔色がよくなられましたね」
「ん?そうだろうか?」
サイラスが食器や食事をのせてきたワゴンを廊下へ出しながら、ぽつりと言った。
「ええ。奥様が来られてから、目の下の隈も薄くなられて。頬も少しふっくらと.....調子が戻ってこられたようで嬉しい限りです」
目を細めるサイラスに、無意識に手が自分の顔に伸びた。掌でペタペタと肌に触れ、確かめる。
「そう、か.....うむ。確かにそうかもしれないな。....夜眠る前にも、彼女のすすめる茶葉で淹れたお茶を飲むようになってぐっすり眠れている。食欲も.....戻ってきた気がする」
「それは何よりです」
「ああ....」
小さなサンドイッチを口に運んだ。
ふと、窓の方へ視線を向ける。
晴れた空から降り注ぐ陽の光が、床に陽だまりを落としていた。
ーー彼女はいま、何をしているのだろう....?
優しい光であたためられたその場所を見ていると、何故か彼女の笑顔が浮かんだ。
「.....彼女は....どうしている?」
俺の突然の問いに一瞬目を見開いたサイラスは、すぐに微笑んで答えた。
「奥様は今日も庭におられますよ」
「庭に....」
ぽそり呟いて、残りのサンドイッチやクッキーを手早く口に放り込んでいった。