【完結】隣国のモフモフ騎士団長様、番ではない私でよろしいのですか?

 ーーザリ.....。

 と、背後で土を踏む音がして、低く落ち着いた声が背中越しにかけられる。

「ここに居たのか」

「......え、フェンリル、様?」

 振り返れば、執務室で仕事中のはずのフェンリル様が立っていた。思わず、素っ頓狂な声を上げてしまう。

「あー.....すまない、驚かせただろうか.....?」

 ぽりぽりと頭の後ろを掻きながら、彼が眉を下げた。

「あっ、い、いいえ!そんなことは....あ、いえっ、驚いたのは驚いたのですが.....っ」

 その様子に、失礼だったと慌てて立ち上がり言葉を重ねるが、しどろもどろになってうまく話せない。

「......くっ、くくく」

「......え?」

 私の慌てぶりに堪えらきれなくなったのか、ひとしきり肩を震わせたあと、フェンリル様は穏やかに言った。

「す、すまない.....あまりに焦っているから、つい。....俺は大丈夫だから、落ち着いて」

 変な所を見られてしまった恥ずかしさで顔に熱が集中する。

 同時に、自身を『俺』と砕けて呼ぶ様子に、ここ一ヶ月の(とき)の積み重ねを感じた。

 彼はそんな私を見て笑みを深めて、それからゆっくりと花壇に目を向けた。
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