【完結】隣国のモフモフ騎士団長様、番ではない私でよろしいのですか?


「あの.....フェンリル様?」

「んー?」

「えっと.....」

 い、言いにくい。非常に言いにくいが....これは言ったほうがいい。.....多分。

「なんだ?」

「ち、近い.....ような?」

 何となく尻窄みになって、声が裏返ったけれど。なんとか伝えることができた。

「っ、あ、ああ。すまない」

「い、いえ.....」

 言葉を聞いてハッとしたフェンリル様は、私の顔から数センチの距離にあった自身の顔を勢いよく離した。

 でもまたしばらくすれば、隣で私の作業をじっと見つめている。

 最近の彼は少し変わった。

 彼はあの日から毎日庭にやってくる。
 朝仕事に出掛ける前だったり、お昼休憩の間だったり。時間はまちまちだが、必ず植物の様子を見にくるようになった。

 そんなにハーブが気に入ったのだろうか。

 植物好きとしては嬉しい限りだが.....時々家令のサイラスが呆れた様子で、フェンリル様を見ていることが増えた。

 お仕事を抜けてくることに対してだろう。

 庭へやってきて花壇を見て、私と植物の話をして再び仕事に戻っていく。サイラスとしては内心、仕事に集中してほしいと心配なのかもしれない。

 サイラスの気持ちもわかるし、同じ植物好きとして成長が気にかかるフェンリル様のお気持ちも理解できるので、難しい所だ。

 よく考えれば、あの日から朝食も夕食も時間がきっちり合うようになった。必ず食事を共にしていて、いつも植物たちの様子を聞かれたりする。

 大好きなハーブや植物の話ができるのは嬉しいので、その度に話しすぎてしまう私は、我に返った時に落ち込むのだがーー。

 彼は楽しそうに。いや、嬉しそうに聞いてくれている気がして。それも何だかそわそわ落ち着かない。

 リリアはフェンリル様がいらっしゃる時、何故かあれやこれやと用事が入ってそばに居ないし。

 そしてーー。
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