【完結】隣国のモフモフ騎士団長様、番ではない私でよろしいのですか?
「............」

 チラリと。花壇に身体を向けながら横目でフェンリル様の足元を見遣る。

 花壇ではなく、私の方に身体ごと向けて屈んでいる彼の背後で忙しなく動く尻尾。

 一番の変化はこれだろう。

 あの日の翌日からゆるやかに動きを見せるようになった尻尾は、徐々に動きを強めている。

「.............」

 今も。バフンッ、バフンッ、とバウンドする勢いで振られている尻尾は、その立派な毛並み故に花壇の縁をゆうに超え、中の土にまで達していた。

 言いにくい。非常に言いにくいのだが.....すぐそばで根を張っているハーブに尻尾が迫っているのが気になる。

 と、一旦現実逃避して、昨日フラワーショップで購入してきた新しいハーブの苗を取りに行こうと立ち上がった。

 すると、後を追うように彼も立ち上がってついてきて、図らずも尻尾がその場を離れた。

「どこに行くんだ?」

「昨日、購入した苗を植え替えようと思いまして。それを取りに行くのですわ」

「うむ。俺も行く」

「はい」

 二人で苗を両手に持って花壇へ戻る。
 フェンリル様が時間を見て「そろそろ仕事に戻らないと」と言ったが、なかなか背を向けないので首を傾げた。

「............?」

「あーその、なんだ。君にはいつも色々と世話になっていて、本当に感謝している」

 視線をうろうろさせてから私の方に向き直り、フェンリル様が言った。
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