【完結】隣国のモフモフ騎士団長様、番ではない私でよろしいのですか?
*****

「だめだわ。どうしてかしら.....?」

 私は、一人きりの庭で花壇と睨めっこしながら頭を抱えていた。

 リリアには先ほど、急ぎ追加の肥料を購入してきてもらうようお使いを頼んだ。

 焦りと困惑。そして、迷路に迷い込んで出口の見えない感覚。様々な気持ちが入り乱れて、朝からずっと悄然としている。

 うまく根付いてくれたと思っていた植物たち。これから大切な役目を担うはずのハーブたちが、ここ二、三日元気がない。

 水や肥料の量、気温、隣り合う植物との相性。色々考えて試行錯誤してみた。

 屋敷の庭師にもみてもらい、もらったアドバイスも実践してみた。が、全く改善が見られない。

 むしろ、更に葉が萎れてきたような気がして。このままいけば、枯れてしまうのではと気が気ではない。

「ねえ....何が原因なの.....?」

 必死に糸口を探るためパラパラとめくって猛スピードで再読していた分厚い図鑑を閉じる。

 藁にも縋る思いで、指先でそっと葉を撫でた。

「教えてくれなきゃ、わからないわ.....お願いよ」

 呟いて、地面に視線を落とす。

『.....いまは、いらない』

「.....え?」

 ーーまたあの時の感覚。

 指先から脳に真っ直ぐ響く声。
 もちろん辺りには誰もいない。

「まさか....あなた、なの?」

 そんなわけがないと思いつつ。もう一度、葉に指を滑らせる。

『いまは、なにもいらないの』

「っ、やっぱり....あなたの声なのね?」

『...........』

 確認への返答はない。諦めず語りかける。
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