【完結】隣国のモフモフ騎士団長様、番ではない私でよろしいのですか?

「申し訳ありません。旦那様とご一緒だったのですね。これはお邪魔を....」

 申し訳なさげに眉をさげて、ルーファスは小さく頭を下げる。立ち去る素振りを見せたので、慌てて言った。

 気まずい思いが残る私は、彼に少しでもこの場に踏みとどまってほしかった。

 もちろん長く引き止めるつもりはない。
 仕事中のルーファスにも、一人になっているフェンリル様にも、申し訳が立たないから。

 ただちょっぴりでも、動揺する心を落ち着ける時間が欲しかっただけなのだ。

「いいえ、いいのよ。ルーファス、先日は助かったわ。色々とアドバイスをもらえて、とても心強かったです」

「そんな....もったいないお言葉です。それにしても、お嬢様はとても植物にお詳しくていらっしゃる。私のアドバイスなんて、必要なかったのでは」

 私の言葉を受けて足を止めたルーファスは、にこやかに続けた。

「そんなことないわよ」

「ハーブは、元気になったのですね」

「ええ、お陰様で何とか」

 ふふふ、と笑った時だ。
 少しだけ平静を取り戻しつつあった私の視界に、逞しくしなやかな腕が伸びてきたのが映った。

「ジャスミン」

「.....え?」

 かけられた声と共に後ろから伸びた腕は、私の鎖骨を通って肩を掴んだ。

 決して無理やりではないが、有無を言わせぬ力強さで後ろへ引き寄せられて、トンと弾力のある大きな壁に受け止められる。

 状況が掴めず、間の抜けた声をあげてゆっくりと上を見れば、切なげな瞳とかち合った。

「どうして離れる....?」

 ぽそっとこぼれ落ちた言葉。ゆるゆると目を見開いた。

 だが、すぐに絡み合った視線は解けて、私を抱き寄せたままのフェンリル様はルーファスを見遣った。
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