【完結】隣国のモフモフ騎士団長様、番ではない私でよろしいのですか?
だが、一週間前ーー。
夫人と何かあったのか、久方ぶりに夜遅くまで仕事をこなしていた。
彼を取り巻く空気は重く、機嫌が悪いというより悩んでいると表現した方が正しいような有様だった。
どうしたものかと気にかけていたら、結局、翌朝には目尻をでれっと垂らして出勤してきた。
これは夫人と仲直りでもしたのかと安堵していたのにーー。
その日のうちに遠征が入り、あれよあれよと馬に乗って出発した。
そしてこの一週間、騎士団としての仕事は終えたが、団長の夫人欠乏症はひどくなる一方だった。
とにかく。
あと一日。明日には団長も団員たちも、各自家に帰ることができる。
ーーそう、思っていた。この時までは。
ピィーー!
頭上を旋回する鷹の鳴き声。
「....あれは、王城からの知らせ、か」
「ええ、間違いありませんね」
瞬時に団長としての鋭い顔をのぞかせた彼の言葉で、空気がピンと張り詰めた。
腕を差し出し、そこにバサバサと羽音を響かせ降り立った鷹の足に手を伸ばす。
巻き付いた紙を外し、カサリと乾いた音をたてた紙に目を通していく。
「....なん、だと?」
顔を青ざめさせた団長に、わらわらと団員達も集まって覗き込んだ。
「夫人が.....行方不明?」
私は目を疑って、もう一度確認したあと、呆然と口から声を漏らした。ブルブルと震える団長の手と、クシャリと握り潰された紙を見つめる。
「俺は先に戻る。幸い仕事は終えた。お前たちは予定通りの帰還でいい。....ケイン、あとは頼む」
「は、はっ!」
とっさに体勢を改め、返事を返す。
馬に跨り、猛スピードで駆け戻る彼の背中を見送った。
◇