【完結】隣国のモフモフ騎士団長様、番ではない私でよろしいのですか?


 ヴォルフ・ユービィストは王城の玉座に腰掛け、今しがた届いた手紙の返事を何度も読み返していた。

 先日出していた、モーリャント王国 新王、テリウェル・モーリャントへの、《《ことの次第を確認》》するための手紙。

 ずっと抱いていた疑念に、確証を得るための手紙ーー。

「.....ほんに、食えない男め」

 ヴォルフは、困ったような、諦めたような。
 だが、どこか感謝の念も感じる眼差しで、返事の手紙を見つめた。

 ダダダ.....。

「陛下!急ぎ、知らせです」

「む、なんだ」

 王の側近を務めている羊獣人のマトンが、灰色の短い巻き髪を乱し、血相を変えて謁見の間に飛び込んできた。

「それが....ジャスミン・ウィルフォード公爵夫人の姿が、今朝方から見えないと。

公爵家の家令、サイラスより知らせが届きました。

遠征中の騎士団に鷹で一報を入れてほしいとあったので、早速手紙をつけ鷹を飛ばしました 」

「.....うむ」

 一瞬驚いた顔を見せたヴォルフだが、すぐに背を玉座の背もたれに落ち着けると、顎を撫でながら何やら思案した。

「どういたしましょう」

「よい。様子を見る。おそらく、そろそろタネ明かしの頃合いなのだろう」

「は、はぁ。タネ、明かしで、ございますか」

 特に慌てる様子のない国王に、マトンが首を捻った。

「ああ、心配はいらん。それより、便箋を。また手紙をひとつ出したい。シルヴァとマーナガルムも呼んでくれ。相談がある」

「はっ」

 命を受けて姿勢を正したマトンは、踵を返した。

 彼の立ち去る足音を聞きながら、ヴォルフはもう一度手紙に目を落とし、ふっと笑んだ。

「頑張れよ。今度こそ、逃すんじゃないぞ....」




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