Nocturne(ノクターン)ー美しさは静かに交差する
希は、ぽつり。
「ねぇ」
「ん?」
「私さ旬と付き合ってからMinoが良くなくなったって、絶対思われたくないの」
旬の表情が変わる。
「誰に」
「周りに、業界に、自分に」
静かな声。
本音。
「だから良いもの作りたいし、がんばってるの」
旬は黙って聞く。
希は続ける。
「旬に片思いしてる時にデザインしたやつ見直してたらさ。すごく良いの。
自分で言うのもあれだけど…熱量が違う」
少し笑う。
でも目は真剣。
「片思いってさ、苦しいけどさ
全部そこに向くじゃん
好きとか、会いたいとか、触れたいとか
全部、デザインにでてる」
旬の喉が鳴る。
「だから怖いの。今、幸せで。
丸くなったって思われたらどうしようって。旬に満たされて、鈍ったって思われたら嫌」
沈黙。
旬はゆっくり体を起こす。
希を見る。
「希」
「うん」
「俺、足引っ張ってる?」
希は即座に首を振る。
「違う!全然違う!むしろ…」
言葉を探す。
「安心しちゃってる自分が怖いの」
旬は少し考えてから言う。
「片思いの時のデザインが良いのはさ
足りなかったからだろ」
希、止まる。
「でも今は」
旬はゆっくり言葉を選ぶ。
「足りてる。だから違うもの作れる」
希は黙る。
旬は続ける。
「飢えてる時の作品と満ちてる時の作品
同じじゃなくていい。
むしろ変わらなきゃ嘘だろ」
静かな声。
押し付けない。
でも揺れない。
「Minoが良くなくなるって希が止まった時だよ。俺と付き合ったからじゃない」
希の目が少し潤む。
「でもさ、旬といると守られてる感じする」
「それ、悪いこと?」
旬は小さく笑う。
「守られてる女が作る服、見てみたいけど」
希、少し吹き出す。
「何それ、新章じゃん」
その言葉に、希の胸がざわっとする。
新章。
1人で頑張ってた季節。
片思いの熱。
両想いの安心。
どれもも嘘じゃない。
「あの頃のデザインが最高なら次は更新すればいい」
旬はさらっと言う。
「俺のせいで落ちたとか言わせない。
俺ごと上がれ」
強い。
でも優しい。
希はゆっくり旬に寄りかかる。
「……プレッシャー」
「かけてない」
「ちょっとかけてる」
旬は苦笑する。
「希」
「うん」
「俺といることで、鈍るなら別れる」
空気が一瞬凍る。
希が顔を上げる。
旬は続ける。
「でも、上がるなら離さない」
真っ直ぐすぎる。
希は小さく笑う。
「上がるよ。絶対」
旬も笑う。
「じゃあ問題ない」
静かな夜。
希は思う。
片思いのときのMinoは、切なさで出来ていた。
今はきっと、
安心と覚悟でできる。
それは、弱くない。
むしろ強い。
希は小さくつぶやく。
「次のコレクション、旬といる私で作る。
切なさと、安心の両方の私で。」
旬は即答。
「楽しみ」
その声に、迷いはなかった。
「ねぇ」
「ん?」
「私さ旬と付き合ってからMinoが良くなくなったって、絶対思われたくないの」
旬の表情が変わる。
「誰に」
「周りに、業界に、自分に」
静かな声。
本音。
「だから良いもの作りたいし、がんばってるの」
旬は黙って聞く。
希は続ける。
「旬に片思いしてる時にデザインしたやつ見直してたらさ。すごく良いの。
自分で言うのもあれだけど…熱量が違う」
少し笑う。
でも目は真剣。
「片思いってさ、苦しいけどさ
全部そこに向くじゃん
好きとか、会いたいとか、触れたいとか
全部、デザインにでてる」
旬の喉が鳴る。
「だから怖いの。今、幸せで。
丸くなったって思われたらどうしようって。旬に満たされて、鈍ったって思われたら嫌」
沈黙。
旬はゆっくり体を起こす。
希を見る。
「希」
「うん」
「俺、足引っ張ってる?」
希は即座に首を振る。
「違う!全然違う!むしろ…」
言葉を探す。
「安心しちゃってる自分が怖いの」
旬は少し考えてから言う。
「片思いの時のデザインが良いのはさ
足りなかったからだろ」
希、止まる。
「でも今は」
旬はゆっくり言葉を選ぶ。
「足りてる。だから違うもの作れる」
希は黙る。
旬は続ける。
「飢えてる時の作品と満ちてる時の作品
同じじゃなくていい。
むしろ変わらなきゃ嘘だろ」
静かな声。
押し付けない。
でも揺れない。
「Minoが良くなくなるって希が止まった時だよ。俺と付き合ったからじゃない」
希の目が少し潤む。
「でもさ、旬といると守られてる感じする」
「それ、悪いこと?」
旬は小さく笑う。
「守られてる女が作る服、見てみたいけど」
希、少し吹き出す。
「何それ、新章じゃん」
その言葉に、希の胸がざわっとする。
新章。
1人で頑張ってた季節。
片思いの熱。
両想いの安心。
どれもも嘘じゃない。
「あの頃のデザインが最高なら次は更新すればいい」
旬はさらっと言う。
「俺のせいで落ちたとか言わせない。
俺ごと上がれ」
強い。
でも優しい。
希はゆっくり旬に寄りかかる。
「……プレッシャー」
「かけてない」
「ちょっとかけてる」
旬は苦笑する。
「希」
「うん」
「俺といることで、鈍るなら別れる」
空気が一瞬凍る。
希が顔を上げる。
旬は続ける。
「でも、上がるなら離さない」
真っ直ぐすぎる。
希は小さく笑う。
「上がるよ。絶対」
旬も笑う。
「じゃあ問題ない」
静かな夜。
希は思う。
片思いのときのMinoは、切なさで出来ていた。
今はきっと、
安心と覚悟でできる。
それは、弱くない。
むしろ強い。
希は小さくつぶやく。
「次のコレクション、旬といる私で作る。
切なさと、安心の両方の私で。」
旬は即答。
「楽しみ」
その声に、迷いはなかった。