愛しい君へ〜君が振り向くその日まで〜

お昼休憩の時間になると、みんな食堂へ向かう中、わたしだけは自分のデスクに残っていた。
昨日の出来事から今朝の事に心が追い付かず、溜め息を零しながらデスクに顔を伏せる。

すると、デスクの端に置いていたスマホが震えた。

スマホに手を伸ばし、画面を見てみると、そこには匡からのメッセージが届いていた。

『今休憩入った。大丈夫か?社長に何か言われた?』

(匡、ずっと心配してくれたんだ。)

わたしはそう思いながらも、藤崎社長に婚姻届を書かされてしまった事を返信した。
そのあと匡からは『はっ?!何だそれ、無理矢理書かされたのか?!帰ってから詳しく聞かせて。』と返信がきて、わたしは匡に余計な心配をかけてしまった事を少し後悔した。

「はぁ······。」

出てくるのは溜め息ばかり。
食欲もなく、いつになっても心の整理がつかずに頭の中はグチャグチャだった。

わたしはその後もずっと自分のデスクで止まらない溜め息をつきながら、休憩時間を過ごした。
そして、仕事の事だけを考えるようにしながら、その日の業務を終わらせたのだった。


その日の帰り、会社を出ると目の前に見覚えのある白い車が停まっていることに気付いた。
わたしに気付き、白い車の運転席から姿を現したのは匡だ。

匡は「お疲れ!」と言って、わたしに手を振った。

「迎えに来てくれたの?」
「うん、うちの会社近いしな。」

匡はそう言うと、助手席のドアを開け、わたしに「どうぞ、お嬢様。」とふざけながらお嬢様扱いをした。
そんな匡にわたしはクスッと笑うと、「ありがとう。」と言って助手席に乗り込んだ。

わたしはシートベルトを締めると、匡に「ごめんね。」と言った。

すると匡は「何が?」と言いながら、何の事が分からないフリをする。
それから匡は「さて、帰りますよ。お嬢様。」と言って、車を発進させたのだ。
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