魔族@純愛#格差&恋愛物語
強引さと、強気はサキュバスの十八番だ。

「ええ・・でも」

少年が視線を下げて困っている隙に、イリスはスーツケースをドアの隙間にぐいっと押し込んだ。

「あのさぁ、私が魔族で・・入れたくないんでしょう。
それって、偏見だよね。

神殿にサキュバスを入れたら、穢れるってさ、どうせ言われているんでしょう!」

イリスは紅の口を尖らせて、言いつのった。

難癖をつけて、押し通すのも魔族の常套手段だ。

「神殿は、誰でも入れる場所です」

背後の声に驚いて、イリスは振り向いた。

「シオンは私ですが・・」

低めで、落ち着きのある声。

その人は生成りの質素なローブをまとい、草や小枝を胸に抱えていた。

透き通る肌色に、彫刻のように整った顔立ち。

深い緑に金の糸が混じる髪を後ろに束ねて、同じ金と緑の混じる瞳で、イリスを見つめている。

ジジィ・・のはずだが・・・・壮年というのは、まだ早い。

アラゴンより、少し年上くらいに見える。

表情は冷静さを保っている?・・
だけど、精気が、生気が感じられない。

「ああ、あんたがシオン・・様?
本当に?」

まるで、大きな大樹のよう・・不思議な存在感と品格の高さ。

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