魔族@純愛#格差&恋愛物語

イリスのかぶれ事件

<イリスのかぶれ事件>

パチパチと木のはぜる音、ゆらめく暖炉の火、薄い闇と、ぼうっとしたろうそくの明かり。

まぶたが重く、思うように目が開けられない。

体の節々が痛み、力が入らない。

それでも、イリスは自分が厚い毛布にくるまれて、誰かに抱かれているのに気が付いた。

「あ・・っ?」

イリスの頭上から、低めの声が響いた。

「気が付きましたか?薬湯を飲めますか?」

シオンに抱かれているのか・・・

「あ・・・うん・・」

少し体を起こされて、温かい陶器のカップが唇につけられると、強い薬草の臭いにむせてしまった。

ゲホゲホッ・・・

「大丈夫ですか?」

シオンの大きな手が、丸くなってせき込むイリスの背中をなでた。

「・・・うん」

コクン、トロリとした液体を飲み込むと、微妙な甘さと苦味を感じる。

「すぐに眠くなりますから、楽になりますよ」

耳元で響くその声は静かで、穏やかだ。

イリスは目を閉じた。

神殿巫女ってなんだっけ・・・
思考の断片がかすめ流れた。

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