魔族@純愛#格差&恋愛物語
シオンの表情はわからないが、声は落ち着いている。

「ふへ?」

想定外の答えに、イリスは戸惑った。

「噛みつくと、たぶん甘い汁が出てくると思うので」

「甘い?・・汁って・・?」

相変わらず、シオンの声は落ち着いている。

「私は緑のフェアリーです。
紋章がサトウカエデなのですが、樹液からメープルシロップがとれます」

それは、はちみつのように甘いのなら、精気も甘いのかな・・・・

「あーー、そーー」

シオンが大股で歩くので、結構体が揺れて、その都度、森の匂い、時折、花の匂いがする。

イリスは不思議な気分になった。

誰かに手をひかれて、目を閉じたまま、深い森の中を歩いているみたいだ。

シオンはイリスを抱いたまま、玄関から外に出た。

片手を掲げ、人差し指を立てて、風向きを確認した。

「風がないですね。直線距離でいきましょう」

見渡す限りの晴天、雲一つない真っ青な空が、どこまでも広がっている。

「飛ぶのは久しぶりなのですが、つかまってくださいね」

え・・飛ぶって・・
フェアリーって・・・飛ぶ奴なのか?!

ブワッと風圧が感じられたので、イリスはしがみついた。
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