魔族@純愛#格差&恋愛物語
「そ、それでは・・・それも一緒にお願いします」

シオンは、あくまでも平静を装っているが、口に手をあてて、いきなりのパパ呼びに困っているのがわかる。

イリスはサンダルを履き、かごを手に持つと、支払いをしているシオンの上着の裾を引っ張り

「パパぁ、次はケーキ屋さんだよぉ」

わざと口を尖らせて言った。

それから、店のお姉さんに

「今日はパパとデートなの。ママはね、おうちで赤ちゃんとお留守番なんだよ。
だからね、ケーキをお土産にするの」

その説明の言葉を聞いて、シオンは複雑な、なんとも言えない表情をした。

「そうなの。パパとのデート、楽しんでね」

お姉さんに言われて、おしゃまな娘を演じる楽しさに、イリスはニンマリしていた。

シオンは店を出ると、大きくため息をついた。

「何か・・すごく疲れますね」

イリスはニヤッと笑った。

「父親と娘ごっこプレイ、楽しくない?」

「魔族は、いろいろな事をするのですね・・・・」

シオンは、あきれたというか、よくわからないというようにイリスを見た。

「パパァ、手をつないでよ。デートなんだからさ」

イリスは手を差し出し、強引にシオンの指を握った。

その手は大きく、骨ばってやや硬いが、木材のようなぬくもりがある。

緑のフェアリーというより、樹木の精霊のほうが近いのかな・・・・
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