魔族@純愛#格差&恋愛物語
「ええ、直々にお手紙なんて・・めったにないことなのですよ」

「ななな・・・んて?!」

「絹の素材の繭ですが、神殿の蚕とかけあわせた交雑種のものがあるそうです。

フェアリー領の別の所で、神殿の絹に近いものをつくっているという情報をいただきました。

一度見に行って、交渉されてはいかがかというご提案ですね。」

イリスは目を閉じて、唇をかみしめた。

会いたい、あの落ち着いた声が聞きたい、手をつなぎたい、抱きしめられたい・・・

あの深い森の匂い・・・こんな気持ちになったのは、初めてだ。

サキュバスにとって、甘酸っぱいような、今まで感じたことのない感情があふれてくる。

「お礼の手紙を書かなくては、いけませんね」

アクアが言うと、イリスはがばっと立ち上がった。

「直接、お礼を言いに行く!!」

言い終わると、頭を抱えて崩れこんだ。

来ないでください・・・あの拒絶の言葉が脳内でグルグルめぐる。

それでも・・・拒絶されてもいい。

自分の気持ちに、落とし前をつけるためにも。

前に進むためにも。

いや、前に進むのではない、元プライドの高いサキュバスのイリスに戻るだけなのだが。

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