魔族@純愛#格差&恋愛物語

進撃のイリス

<進撃のイリス>

3回目の訪問は、迷わず、神殿の前の岩の隙間をくぐり抜けたので、イリスは胸をなでおろした。

イリスは、もともと、方向音痴だ。

魔族の長距離飛行訓練でも、アラゴンはすぐに地形を把握して、最短距離で飛ぶが、イリスは迷子になり、モタモタして最下位だった。
首位のアラゴンからはメチャクチャバカにされ、プライドが傷ついた悔しい過去がある。

この岩の隙間は、神殿の結界で、邪悪なものは通れないはず。


アポなしの突撃だが、アポを取ったら断られるにきまっているし。

それに、あくまで今日の訪問は、お礼という名目なのだから、会う事ぐらいはできるだろう。

イリスは、神殿の玄関脇のベンチに座った。

大きく息を吐くと、体が緊張でこわばっているのがわかる。

断わられるのが・・・こんなにコワイのか・・・

涙で化粧がぐちゃぐちゃになってしまったので、スカートの裾でぬぐった。

10分ほどすると、畑からカーチャとシオンが連れ立って歩いてくるのが見えた。

イリスはすぐに立ち上がり、頭を下げた。

「その、絹の情報のお礼を、言いにきました」

イリスは伏し目がちに、ペコリと頭を下げた。

「そうですか・・・」

シオンは静かに言い、隣にいるカーチャに目配せをした。

「今日はもう帰りなさい。薬草の仕分けは私がやっておきますから」

カーチャはうなずいて、岩の方に走っていった。


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