天才外科医からの求愛〜傷跡ごと甘く癒されて〜
 普通に帰れる医師もいる中で、こんなに夜遅くなのに、風見先生はまだ仕事なんて大変だ。
 おまけに私まで診てもらうことになってしまった。

 帰って軽く食事を摂り、ベッドの上で考える。
 気分は悪くなかった。優馬のことが気がかりではあるけれど。
 
 ピコンとスマホが鳴ると、風見先生からのメッセージだった。

<家、着いた?もう平気?>

 風見先生、仕事中だろうな。なのに心配してくれるんだ。

<大丈夫です。明日も仕事行けそうです。ありがとうございました>

 返信すると
<無理するなよ。あいつのことは何も考えるな>
 すぐに先生から返信が届いた。

 あいつとは、優馬のことだよね。

<はい。また相談させてください>

<わかった>

 おやすみなさいのスタンプを送り、スマホをベッドサイドに置く。


 次の日、出勤をする。
 院内の共有スケジュールを確認した。
 風見先生、午後は外来の診察入ってない。手術の予定もない。
 
 お昼休み、私は深呼吸をしながら一つの荷物を持ち、風見先生がいる医局へ向かった。

 やっぱり慣れない、この雰囲気。
 みんなエリート集団に見える。
 チラチラと風見先生がいるか見ていると
「どうしたんですか?」
 風見先生と同じ外科医の高木(たかぎ)先生が声をかけてくれた。

 高木先生は風見先生と同じくらいの年齢で、容姿も良いから風見先生と同じくらい人気のある先生だ。
 それに、高木先生の方がコミュニケーションが上手なイメージがある。
 女性職員がよく二人の比較をしているのを聞く。

「すみません。風見先生いますか?」

「ああ。いると思うよ。ちょっと待って。えっと、どこにいたっけ」

 高木先生が医局を見てくれていると、廊下から風見先生が歩いてきた。

「あ、ねぇ!風見先生」

 高木先生が声を大きくする。
 親切だけど、そんなに大きな声を出さないでほしい。目立っちゃうよ。

 風見先生が私たちを見ると
「光藤さん?」
 不思議そうだけど足早に来てくれた。

「この子、風見先生に用事があるんだって」

 高木先生が悪気もなく間に入ってくれる。

「風見先生、あの……」

「体調、大丈夫か?」
 風見先生は自然と私の額に触れた。
 みんな見ているかもしれないのに。

「はい。ありがとうございました」

「そうか。それで、どうしたんだ?」

 風見先生が何かあったのか?と聞いてくれたけれど、高木先生が近くにいて、本当の要件を言えずにいる。

「あの、えっと」

 目線で高木先生を見ると、風見先生が
「ちょっと来て」
 私をラウンジまで連れて行ってくれた。

「それで、どうした?本当は具合が悪いのか?」

「いえ。あの。これ、良かったら。嫌じゃなかったら食べてください」

 私は紙袋に入っているランチボックスを渡した。

「えっ?」

 風見先生は中身を見て
「弁当、作ってきてくれたの?」
 ジッと見つめて驚いている。

「卵焼き、たくさん入ってます。他人が作ったお弁当、嫌なら言ってください。持ち帰り……」

「マジ嬉しい。ありがとう。光藤さんが作ってくれた弁当なら嫌じゃないから。昨日倒れたのに、朝早く起きたのか?」

 先生が人目を気にせず、私の頭に手のひらを置いた。
 心配そうに、だけど少しだけ嬉しそうにポンポンしてくれてる。
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