天才外科医からの求愛〜傷跡ごと甘く癒されて〜
 適当にスープとサラダを作り、チキンライスを卵で巻いた。
 ふわふわした感じの方が先生は好きそう。

 そんなことを思いながら、慌てることなくゆっくりと調理をした。

 さて、そろそろ風見先生を起こさないと。
 私は寝ている先生の肩に触れ
「風見先生、起きてください」
 声をかける。

 なかなか起きない。寝不足なのかも。

「先生っ!」

 さっきよりも強めに声をかけた。

 その時
「わっ!!」
 先生の目が急にパチッと開き、その瞬間、抱きしめられた。

 えっと。どうしたんだろう。

「あの、風見先生?」

 抵抗することなく、先生に抱きつかれたままでいると
「……。ちょっとこのままでいさせて」
 耳元で弱弱しくそう言われた。

「どうしたんですか?」

 嫌ではないけれど、いつもと様子が違う先生に戸惑う。

「……。久しぶりに嫌な夢を見た」

 嫌な夢?怖い夢でも見たのかな。

「大丈夫ですか?」

 先生の頭を思わず、サラっと撫でてしまった。
 ヤバい、こんなことしたらプライドが傷ついちゃうかも。
 子ども扱いするなって言われそう。だけど、先生はギュッと私を抱きしめる力を強めただけだ。

「どんな夢を見たんですか?」

 興味本位に聞いちゃった。

「……。好きな人が死んじゃう夢。助けたくても、助けられなかった」

 そんな夢見たの?

「えっと。とりあえず、夢なので安心してください」

 私が背中をさすってあげると
「光藤さん……」
 先生は私から少し離れ、顔を近づけた。

 えっ、すごく顔近い。キスされるかもっ。

 目を見開いてしまったけど、チュッと私の額に先生は軽くキスをした。

「ごめん。何もしないって言ったのに。光藤さんがここにいるって確かめたかった」

 額が熱くなる。顔も紅潮する。

 あれ。ていうか、好きな人が死んじゃう夢ってもしかして私が死んだ夢を見たの?

「私はここにいますからね!」

 珍しく下を向いている先生の頬に触れる。

「ああ。わかってる」

 先生の頬に触れた私の手に、先生はまたチュッと唇をつけた。
 軽く上目遣いをされ、一気に心拍数があがる。その顔、反則だ。妖艶すぎる。

「先生、ご飯できました。冷めちゃうので食べましょう」

「ああ。ごめん」

 返事をしてくれた先生は、いつもの先生に戻ったみたい。
 呼吸を整えながらキッチンへ向かう。
 今、二回もキスされちゃった。

 ちょっと前まではアニル様と重なって嫌な気持ちになったのに、今はなんとも感じない。風見先生の雰囲気に慣れてきたのかな。
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