天才外科医からの求愛〜傷跡ごと甘く癒されて〜
「ありがとうございます」

 先生の配慮に感謝するしかないよね。

「ショッピングモールに戻ったら、上着、買ってもいいですか?」

 さすがに透空さんの上着を借りているわけにもいかない。

「ああ」

 先生に買い物に付き合ってもらい、遅くなった昼食を摂るために、ショッピングモール内の定食屋さんに入った。

「いただきます」

 お昼ご飯、遅くなっちゃったな。透空さんの方を見ると、美味しそうに食べている。
 温かいご飯がとても美味しく感じた。
 家で一人のご飯は最近あまり味がしない。食欲もなかったのに、お腹が空いたって思ったの久しぶりかも。

「美味しいって感じたの、久しぶりかもです」

「いろんなことがあったから、味覚が感じにくくなってるかもな。ストレスで。今日も大丈夫か?緊急対応したばかりだけど」

「はい。透空さんと一緒だから、大丈夫です」

 私の言葉に透空さんは、飲んでいたお茶を詰まらせた。

「大丈夫ですか?」

「っ……。急に可愛いこと言うから。びっくりして詰まらせた」

 先生は数回軽く咳をしたあと
「ずっと一緒にいるから安心して」
 そう答えてくれた。

<ずっと一緒>という言葉、前世のこと思い出しちゃって辛かったのに。
 今はその記憶も辛いと感じない。透空さんがたくさん伝えてくれるから、耐性がついたのかな。
 前世と今世は違うって考えるようにしたから、切り替わったのかも。
 それも考え方を教えてくれた透空さんのおかげだけれど。

「このあと、どうする?遊園地でも行く?」

 まさか透空さんから遊園地ってワードが出てくるなんて思わなかった。
 ハハッと笑っていると
「どうした?」
 透空さんが変なこと言った?と聞き返してくれた。

「いえ。透空さんから遊園地って言葉が出てくるなんて想像してもいなかったので。おかしくて」

 さっきまで緊迫していた状況で、病院でも遊園地って言いそうにない顔や態度でいるから思わず笑っちゃった。
 笑い続けている私を最初はムッとして口を曲げていたけれど、そのうちに透空さんも微笑んでくれている。

「いやか?」

「いやじゃないです。だけど、それは今度にとっておいてほしいって言うか。透空さんには家で休んでほしいんです。一緒にいたくないとか、デートとかしたくないわけじゃありません。純粋に休んでほしい」
 
 知り合ってから、透空さんを意識するようになって、スケジュールとか見ているけれど、ほとんど休みなんかない。さっきだって、仕事をしていたようなものだ。

「俺は大丈夫だけど。夜まで平気だって言ったよね?」

 透空さんは納得いかないって顔している。

「お願いです。休んでください。遊園地は、今度一緒に行きましょう?」

 嘘じゃない。今度また行けばいいと思ってる。
 私のお願いという言葉に彼の肩が一瞬、反応したような気がした。

「わかった。じゃあ、雫羽も一緒にな?」

「えっ?」

 私も一緒にって、どういうこと?

「今日は夜まで一緒だって約束した。だから、雫羽が近くにいてほしい。家に帰って休むから、雫羽も一緒にきて休もう。変なことはしないようにする」

 えっと。
 つまり、透空さんの家に行って、私も一緒にお家で過ごしながら休めって言ってるのか。
 だんだんと言いたいことがスムーズにわかるようになってきた。
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