天才外科医からの求愛〜傷跡ごと甘く癒されて〜
 透空さんの家に行くのか。

 私は休めそうにないけれど、きっと私が嫌だって言ったら、強制的にこのデートは続いて遊園地とか行くのかな。

 最初から夜までって言われていたから、そのつもりではいた。

「……。わかりました。私が家に行けば、ゆっくり休んでくれるんですね?」

 彼にくぎを刺すと
「ああ。休むよ」
 彼は意味深な笑みを浮かべている。
 ちょっと怖い。

 お互いに条件が合ったところで、透空さんの家に向かうことになった。まだ夕暮れには早い時間。暗くなっていない状態で彼のマンションを見る。

 やっぱり高級感溢れている。
 私なんかじゃ絶対に住めない。このマンションを見ただけで、胸をときめかせる女性だっているんだろうな。

「お邪魔します」

 透空さんの家に一歩入る。

 勝手に電気が点いた。

 私のアパートとは違う玄関、靴を揃え、透空さんのうしろをついて行く。
 物が少ない、ブラウン基調で清潔感のある部屋。リビングが広い。

「広いですね」

「はじめて来たわけじゃないだろ?」

 過去、助けられた時に来ている。あの時はゆっくり部屋の中を見ている余裕がなかった。
 混乱していたから。休憩って提案をのんでくれたけれど、これからどう過ごせば良いんだろう。

「雫羽。冷蔵庫にあるものは好きなように飲んでいいから。ちょっと待ってて」

「はい」

 透空さんはそう言うと寝室とは別の部屋に入って行った。
 何をしているんだろう。
 しばらくすると透空さんが戻ってきた。

「あっ」

 思わず声を出してしまった理由、透空さんが部屋着のようなラフな格好になっている。
 黒いパーカーにスエットのようなパンツを履いている。なんだか新鮮。

「雫羽もこれに着替えてきて?」

「えっ!」

 彼に渡されたのは、透空さんが着ているスエットのような服。

「どうして着替えなきゃいけないんですか?」

「俺と一緒に《《休んでくれる》》って言っただろ?」

 透空さんの意図がわからないけど、仕方がない。着替えるか。

「お待たせしました」

 バスルームを借りて着替え、透空さんの元へ向かう。

 男性物だから大きい。ブカブカだ。
 私の服装を見て、透空さんは口を手で押さえている。

「変ですよね。やっぱり透空さんの服が大きくて」

 言われなくても似合っていないことくらいわかるよ。

「いや。めっちゃ可愛い」

「そうですか?」

 透空さんは私には甘い。
 可愛い、なんて言ってくれる人だったことを知ったのはごく最近。

「こっちの部屋に来て」

 言われた先は、寝室だ。

 ドクンと鼓動が鳴った。

 透空さん、変なことはしないって言ったよね。ベッドが目の前の状況に、いかがわしいことばかり想像しちゃう。
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