天才外科医からの求愛〜傷跡ごと甘く癒されて〜
「キッチンにあるものはなんでも好きに使っていいから。じゃあ、俺、寝室にいるから。できたら声かけて」

「わかりました」

 自炊をしない透空さんの冷蔵庫は、想像以上に何も入っていなくて、何かを作ることが難しそうだったから、一緒に近くのスーパーへ買い物に出かけていた。

 私が夕食を作っている間くらい、透空さんには休んでもらいたい。
 となりにいても、緊張するだけだから。
 
 こんなに広くて使いやすいキッチンで料理をしたことがないかも。お鍋を置けるスペースが三つもある。それだけで時短になるし、いろんなものが作れると思うとわくわくする。

 透空さんって、料理本当にしないんだな。
 調理器具だって最低限度のものはそろってはいるけど、ピカピカで汚れていない。使っていないからだろう。
 外食ばかりで舌が肥えてる彼に、私のご飯なんかが口に合うのかな。
 透空さんのリクエストが和食だったから、喜んでもらえそうなだし巻き卵を作ったけど、気に入ってくれるかな。

 料理ができたため、寝室のドアをノックする。

「透空さん」

 声をかけながら部屋に入ると、透空さんは寝ていた。

 さっき一緒に寝たばかりなのに。
 すぐ眠れるくらい、疲れているよね。そっと彼に近づく。
 まじまじ見るけど、やっぱりイケメンなんだよな。
 こんな人とさっきまでデートして、それで、あんなキスまでしたなんて。私も昇進したものだ。

「透空さん、起きてください」

 身体をトントンと叩くと
「ん……。ごめん。寝てた」
 ゆっくりと彼は目を覚ました。

 さっきのように混乱していないから、今は怖い夢は見なかったみたい。

「たまには寝てください。ご飯できましたよ」

 目をこすりながらまだ眠そうにしている彼だけど
「ありがとう」
 ベッドから降り
「ご飯、楽しみだ」
 私の頭に手を置き、微笑んでくれた。

 トクンと軽く胸の音が鳴る。

 私、透空さんのその優しい顔好きかも。
 ぽわっと頬が赤くなる。

「どうした?」

 無意識でやっているんだから、この人も罪だ。
 病院の中とは違う雰囲気の透空さんに少しずつだけど慣れた。病院では冷たくて怖いから苦手って言うスタッフさんもいるくらいだけれど、プライベートの彼は普通の男性だ。
 こんなにも積極的に求められるなんて思ってもいなかったけど、今ではその告白とも言える言葉を伝えられると嬉しくなってしまう。
 
 透空さんだったら、本当に私のことを一番に愛してくれるかもしれないなんて思っちゃったんだ。
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