天才外科医からの求愛〜傷跡ごと甘く癒されて〜
「透空さん、どうしたら離してくれるんですか?」

 私から提案をした方が解決が早い。

「離さない」

「えっと……」

 うーんと悩んでいると
「ずっとそばにいて」
 トクンと胸が鳴る。

 こんなに告白されたことがない。求愛されたことも。

 心のどこかで「捨てられる」という防御が働いて、信じられずに生きてきた。
 大切にしてくれると感じた人には遊ばれているだけで、また同じことを繰り返すと思うと怖い。

「透空さんだって、いつかは私のことを捨てるんでしょう?」

 こんな重くて痛い女、好きになってくれる男性なんかいない。
 前に混乱した時に、咄嗟に言ってしまった言葉。
 きっと熱があるのは今だけ。男性は狩猟本能が働くってコラムで読んだ。私が自分のモノにならないから、その本能が強く働いているだけ。

 きっと、付き合うことになったら透空さんも私のことなんかすぐに飽きて――。

「ずっと一緒にいる。約束する。もしも、俺が雫羽のことから離れる時があったら、それは死ぬ時だ。逆に雫羽がもしも死んでしまうことがあったら一緒に逝くよ」

 ああ、これはもう私の負けかもしれない。

「縁起でもないこと言わないでください」

 私みたいなネガティブ女子に、こんなこと言ってくれるのは透空さんだけだ。

「わかりました。透空さんのそばにいます。だけどまだ心の準備ができていないので、エッチなことはしないでください」

 私だって透空さんに惹かれている。自覚しないようにしていただけ。
 一歩、前に進もう。こんなにも彼は私と向き合ってくれているんだから。

「マジで?」

 彼は驚いているようだった。

「マジです」

 ふぅと息を吐く。

「透空さんの彼女にしてください。私、何もできないかもしれないけど、透空さんのそばにいることだけはできます」

「……。まだ夢の中にいるみたいだ」

 彼はボソッと呟き
「きゃっ」
 私の膝と背中を持ち上げ、身体を反転させた。

 どうしよう、今まで彼の顔を見ていなかったから言えたかもしれないけれど、対面でこんなに近い距離になると、恥ずかしすぎる。

「雫羽。好きだ。大切にするから」

 透空さんは私の顎をクイッと上に向かせ、チュッと軽く唇にキスをした。さっきもっと深いキスをされているのに、大きな心臓の音が鳴りやまない。

「約束は守るよ。《《極力》》。雫羽の許可が下りるまで、変なことはしないから」

 フッと微笑んでいる彼だけど、極力にだくてんがついているから、そこは正直なんだと思う。

 コクっとうなずくと
「あー。幸せ」
 彼はもう一度私のことを強く抱きしめた。
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