天才外科医からの求愛〜傷跡ごと甘く癒されて〜

可能性 (風見透空side)

・・・―――

 雫羽を家に送り、自分のマンションへ帰ってきた。
 
 本当は泊まっていってほしかったけれど、一緒にいたら手を出してしまいそうになる。
 それじゃあせっかく俺のことを信用してくれた雫羽がまた傷つくかもしれない。そんなのはイヤだった。
<彼女にしてください>と言われた時は、夢なんじゃないかと思うくらい嬉しかった。
 絶対に雫羽のことを諦めないとは思っていたものの、まだまだ時間が必要だと覚悟していたし。
 あんなことがあったから、恋愛が怖くなるのは当然だ。

 それに雫羽には変わった過去がある。
 前世の記憶、それも愛した人に裏切られてその上、殺されてしまった記憶があるなんて、人を愛することに対して最初からハードルが高いだろう。

 雫羽に伝えたことがある、俺の中の<心の空洞>が、彼女と過ごすことで埋まっている気がする。

 それに自分の中にどこか<足りない>ものも、もう少しで取り戻せそうな気がする。

 まさか……な。
 俺が感じてる可能性、それが真実だったとすると、かなり運命的な出会いだ。
 俺が心から雫羽に惹かれる理由もわかる。
 だけど、それは雫羽にとっては辛いものになるだろう。
 やっと手に入れたものを、自分から手放したくはない。
<もしも>の可能性であれば、伝えない方が今は良い。

 今世は俺が雫羽を幸せにする。そう決めたんだ。

・・・―――
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