天才外科医からの求愛〜傷跡ごと甘く癒されて〜

交際中

 二週間後――。
 風見先生、透空さんと付き合うことになった。と言っても、私の生活は何も変わらない。
 透空さんは忙しい人、急患とか夜勤もあるから生活は私と違って不規則だ。デートなんてする暇があったら休んでほしい。
 それに私も優馬の件で弁護士さんとやり取りをはじめたところだ。
 ほとんど弁護士の先生が動いてくれるから、私は報告や状況を聞いているだけだけれど、まだ彼らとの戦いが終わるのは先の話になりそう。

 一つ、透空さんと付き合って変わったことと言えば
「お疲れ様」
 日勤で時間が合う時は、透空さんと一緒に昼食を食べている。

 不思議なことに美味しい食堂のランチよりも、透空さんは「雫羽の作ったものが食べたい」と言うから、私は自分のお弁当ともう一つ、透空さんのお弁当を作るようになった。

 医局近くの休憩室やラウンジは多くの職員が集まるから、少し遠くのあまり人が使わないような休憩室で二人で食べていたけれど、なんせ透空さんは目立つし、有名な医師。私たちが二人で食事をしているという噂は徐々に広まっていった。

「雫羽。今日もありがとう。弁当、美味しかった」

 毎回、透空さんは<美味しかった。ありがとう>と言ってくれる。
 それが嬉しい。

「透空さん、私とご飯食べてること、誰かに何か突っ込まれたりしません?」

「別に。付き合ってるんだから、飯ぐらい食べたっていいだろう。休憩中なんだし。社内恋愛禁止とか、そんな規則なかった気がするからな。もしも上からなんか言われたら、辞めてやるけど」

 さすがは風見先生。
 この歳で功績を認められている医師は違う。
 すぐに転院するとか言えることがすごいな。
 まぁ、病院も風見先生に対しては特段問題がある行為くらいしか注意できないだろうし、一般事務の私と付き合っていて、昼食を一緒に過ごしているくらいじゃ何も言ってこないだろう。

「雫羽は何か言われる?」

 言われますとも。噂になってますよ。
 事務員の間ではこんなネタしかないから。

「はい。面倒なんでこの前、はっきり付き合っているって言いました」

 いろいろ聞かれて面倒で、一緒にいることを隠すことでもない。
 事務員の間では風見先生のイメージとして<優秀だけど怖い先生>で通っているから、みんな興味本位で聞いてくるだけで、小言を言われたり嫉妬されたりっていうのはないのが有難い。

「なんか意外だな。隠しそうなのに。でも嬉しい」

 クシャっと頭を撫でられる。

「だって本当のことですから。もうすぐ院内スタッフとの食事会もありますし。その時も聞かれそうだから覚悟を決めました。出席したくないけど、私、今年は係なので」
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