天才外科医からの求愛〜傷跡ごと甘く癒されて〜
 俺のそばって。
 一緒のベッドで寝るってことか。
 一緒に寝るのははじめてじゃないのに、わざわざそんなことを伝えてくるってことは、もしかして……。

 今日の夜、透空さんに抱かれる!?

 そんな想像しかできない。
 付き合っているんだから、当然かもしれないけれど、透空さんは私の気持ちが落ち着くまでそういうことは待っていてくれるって言った。
 
 でもお仕置きってことは……。

 頭の中がいかがわしいことのループに陥ってしまう。

「そうだ!透空さん、お腹空きましたよね?ご飯作ってきますので。好きなことしたり、休んでいてください」

 私は話を避けるために、自然を装い彼から離れる。
 キッチンで夕食を作っていると彼はソファに座り、スマホを見ていた。

「あ、そうだ。透空さん。先にお風呂とか入ってきたらどうですか?」

 その方が早く休めるよね。

「そうだな。そうするか。飯食ったあと、雫羽とゆっくり過ごしたいから」

 透空さんは私の提案を聞いてくれ、バスルームへ向かった。

 雫羽とゆっくり過ごしたいって言っていたけど。
 やっぱり《《そういうこと》》を提案してくるつもりなのかな。

 私は透空さんがお風呂から出てくる前に夕食を作り終えた。
 今日は和食。
 お味噌汁とひじきのご飯、お魚にお豆腐、そんな簡単なメニューにしてしまった。透空さんは喜んでくれるだろうか。

 ドライヤーの音がする。
 そんな風に感じていると、透空さんがリビングに戻ってきた。

「お先にごめんな」

 うわ、なんかお風呂上りの透空さん、いつもより妙に艶っぽい。
 髪の毛の少し濡れている感じとか、部屋着だから雰囲気が違う。

 じーと見つめてしまうと
「どうした?」
 なんかついている?と私を見つめている。

「えっと。透空さん、なんか綺麗だなって思って」

「かっこ良いじゃなく?」

 かっこ良いはかっこ良いんだけど。
 綺麗と言われて、プライドが傷ついた?

「そんなこと言われるとは思ってなかった。てか、ご飯、すごく美味そうなんだけど」

 テーブルの上に並べられている夕食を見て、すごいなと彼は言ってくれた。

「簡単なものですみません。お味噌汁温めるので。イスへ座ってください」


 彼は
「いただきます」
 そう言って、お味噌汁を飲み
「美味い。感動する」
 お椀の中を見つめている。

 雫羽は食べなくていいの?と心配されたけれど、私はさっき食べてしまったからお腹は空いていない。
 透空さんとの今日の夜のことを考えると、ドキドキしてきちゃった。

「透空さん。よく食事会に間に合いましたね?来ないから、今日は遅くなる残業だと思いました」

「ああ。何とか間に合わせた。容体が悪い患者さんとか今日はいなかったから。それに、雫羽が変な男に絡まれたりするのが心配で。案の定、高木先生に絡まれてたから。行って良かった」

 まだ高木先生が悪いと思っているんだ。
 彼は気を遣ってくれただけなのに。
 ここで高木先生の擁護をしたらきっとまた機嫌を損ねてしまいそうだから。 
 
 高木先生には申し訳ないけど、今は黙っておこう。
< 59 / 72 >

この作品をシェア

pagetop