天才外科医からの求愛〜傷跡ごと甘く癒されて〜
「そういえば、靴の代金、払ってませんでした。あとで支払います」

「いや。いらない。彼女の靴くらい、買うよ。俺を誰だと思ってんの?」

 それは、かの有名な風見先生ですけれど。
 ここは甘えてもいいのかな。

「雫羽にはいつも弁当作ってもらっているし、こうやって夕食も作ってもらって感謝してる。しかもいつも美味い。最近、良いご飯ばかり食べてるから、健康になった気がするよ」

 透空さんに感謝しているのは私の方だ。
 最初の出会い方は最悪だった。前世でフラれてしまったアニル様に似ているから、関わりたくはなかったのに。
 こんな風に一緒に過ごしていることが不思議。
 それも私も透空さんに惹かれて、付き合っているなんて。

「ごちそうさまでした。美味かった。ありがとう」

 透空さんは食器をキッチンへ持って行こうとした。

「いいです。私、片づけますので」

「いいよ。それくらいできるから。雫羽も風呂入ってきて。タオルとかバスルームにあるもの、適当に使っていいから」

「でもっ」

「早く入らないと、雫羽と一緒に風呂に入ろうかな。もう一回」

 フッと笑う彼は、本当にやりそうで怖い。

「わかりました」

 私は着替えを持ち、透空さんの指示通りにすることにした。

「わぁ。広いお風呂」

 足を伸ばしても全然平気。
 透空さん忙しくて掃除とかしなさそうなのに、タイルはピカピカだ。
 そういえば、たまに業者に入ってもらって掃除とかしてもらっているって言ってたな。
 こんな広い家の掃除とか、大変だよね。

「ありがとうございました」

 髪の毛を乾かして、リビングに戻る。
 透空さんはさっきと同じようにソファでスマホを見ていた。

「雫羽。ちょっと来て」

 彼のとなりに座ると、スマホの画面を見せてくれた。

「明日のデート。雫羽が食べたいって言ってたスイーツを食べに行こうと思っているんだけど。どの店が良い?」

 デート先のお店を調べるために、スマホをずっと見ていたの?

 二人でこの前、病院の中でご飯を食べた時に「スイーツのお店に行きたい」って、そんなことを言った気がする。

「あの。えっと」

 透空さんのスマホ画面を見ようとしたら、自然と彼との距離が近くなった。

 あ、今肩が触れている。
 ギュッと抱きしめてもらったこともあるのに、ちょっぴり触れているくらいで何を緊張しているんだろう。

 お風呂あがりの透空さんから良い匂いがするし、なんだかドキドキする。

 画面をしっかり見ることができずにいると
「雫羽。ごめん」
 透空さんがスマホをテーブルに置き、私を包み込むように抱きしめてきた。

「あっと、ちょっと。透空さんっ」

 私の耳元に彼の唇があって、なんかクンクンされてる気がする。

「めっちゃ良い匂いがする」

「それはっ、透空さんと同じ匂いですよ。シャンプーとか一緒なので!」

 顔が熱い。透空さんの家でこの距離はヤバい。
 心臓の音が鳴りやまない。
 それに艶っぽく見える彼が、一段と雰囲気を甘くしている気がする。
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