天才外科医からの求愛〜傷跡ごと甘く癒されて〜

ライバル!?(風見透空side)

・・・

 雫羽とはじめての夜を迎え、もっと余韻に浸っていたかったが、急患対応で呼び出され、現実世界へ戻されている。
 雫羽と気持ちが通じ合って、心の空洞がさらに埋まった。
 満たされている、そんな感覚。
 自然と気分は良かったはずなのに。

「風見先生は本当にあの子のことが好きなんだね」

 休憩中、同期の高木が勝手にとなりに座り、話しかけてきた。
 こいつは飲み会の時、雫羽に勝手に触れている。
 しかもあんなに密着していた。思い出すとイライラしてくる。

「ああ。惚れてる。だからもうあの子に触れるな。もう一回やったら本気で怒るから」

「ええー。それは怖い。だけど約束はできないよ」

 どういうつもりだ。

「俺、雫羽ちゃんのこと、好きになっちゃったかも」

「はっ?」

 冗談にしか聞こえなかったが、冗談でも許せない。

「お前、ケンカ売ってんのか」

 まさか恋愛でこんなにも感情が高ぶるなんて。
 これじゃあ、まるで子どものケンカじゃないか。

「可愛いって思っていたのは本当だよ。風見先生が好きになった子だから、どんな子だろうって最初は興味本位で気になってただけだったけど。飲み会の時、近くの席に座って、あの子の雰囲気と隠された強さに惹かれた。嫌がらせを受けても、怯んでなかった。芯の強さがある子って素敵だよね」

 いろいろ気になる情報が多かったが
「嫌がらせって、彼女、何をされてた?」
 俺には相談してこなかったのに。

「看護師の宮下さんが嫉妬心丸出しで、雫羽ちゃんに突っかかってたよ。オペの助手とか、唯一風見先生と普通に話せる看護師って言われてたから、勝手に自分と風見先生は結ばれるとでも思ってたのかな」

 またあいつか。面倒な奴だ。

「女の嫉妬って怖いから気をつけた方がいいよ。俺の方が上手に雫羽ちゃんを守ってあげられるのに」

「おい、冗談なら……」

 高木はすっと立ち
「冗談じゃないよ。風見先生、俺に雫羽ちゃんを盗られないように頑張ってね」
 ヒラヒラと手を振り、にっこりと笑いながらその場を去る。

 あいつ、何を考えているんだろう。
 口調は穏やかな時が多いけど、表情からは本心が読み取れない。
 不思議な男だ。
 俺も何を考えているか、わからないって言われるけど。
 せっかくのデートだったのに。

 雫羽だったら気にせず<私のことは良いから、行ってください>って言われると思って、黙って出てきた。

 スマホを見ると雫羽から返信があった。
 様子を見て、これで帰宅しよう。
 ああ、雫羽に会いたい。

・・・
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