天才外科医からの求愛〜傷跡ごと甘く癒されて〜

嫉妬

・・・・・
 玄関のドアが開く音がした。
 その音を聞き、私は迎えに行く。

「おかえりなさい」

 玄関で立ち止まっている透空さんは、私の姿に驚いているようで、瞳を大きくさせている。

「雫羽。まだ居てくれたのか?」

 私は自分の家に帰宅することなく、透空さんの家で彼の帰りを待っていた。

「はい。透空さんに会いたくて」

 迷惑だったかな。びっくりさせようと思って、連絡はしていなかったから。

 私の言葉に
「すげー嬉しい。ありがとう」
 彼はギュッと私を抱きしめてくれた。

 私も彼の背中に手を回す。透空さんの胸の中、安心する。
 彼は私の頬にチュッと軽くキスをして
「おかえりって言ってくれる相手がいるって幸せだ」
 柔らかな微笑み、心から喜んでくれたみたい。

 リビングへ行くと
「ごめん。急に病院から呼び出された。せっかく予定が合ったのに。これからどこか行こうか?」
 荷物を置いたあと、謝ってくれた。

「いいえ。私は大丈夫です。透空さんしかできない仕事なので、予定が変更になることはわかっています」

 透空さんと付き合っていくってことは、こういうことも多いはず。仕事の理解者になりたい。

「私は何もできないかもしれないけど、透空さんのことを支えていきたいです。えっと。支えるって言い方、大げさかもだけど。ご飯を作ったり、お洗濯をしたり、掃除をしたり、その辺のことは任せてください」

 あ、でも、家事は基本的にはハウスキーパーさんに頼んでいるんだっけ。

「ごめんなさい。ハウスキーパーさんが……」

 私の言葉を遮り
「ありがとう。雫羽がいてくれるだけで頑張れるから」
 頭を撫でられた。

 透空さん、私に対してはすごく甘い。いや、甘すぎる。
 俺様なところもあるけど、こんなに愛の言葉を伝えられて、大切にしてくれているっていうのがすごくわかる。


 二人で夕食を食べ、ソファに座った時だった。

「明日は仕事だから、帰るだろ?」
「はい」

 泊まっていくわけにもいかない。
 透空さんだって一人の時間、ほしいよね。
 まだそんなに遅くない時間だから電車で帰れる。最寄り駅も近い。

「私、帰りますね。透空さんは今日も仕事だったんだから、早く休んでください」

 立ち上がると
「ダメ。送ってく。てか、帰らなくていいのに」
 手を引かれ、強引に透空さんの膝の上に座らされた。

「ちょっ、透空さん」

 このパターン。
 前にも経験したことがある。私の背中から腰の部分をギュッとされ、離してくれない。

「また来ますから」

 私だって透空さんと一緒にいたい。
 だけど、私の一緒に居たい気持ちを優先するより、彼のことを考えてあげたいから。

「そういえば、飲み会の時、宮下にまた嫌がらせされたって?」

「えっ?」

 私のことを抱きしめながらも、透空さんが
「どうして言ってくれなかったんだ」
 声音を低くする。

「だって。言葉だけで、何かされたわけじゃないですよ。それに高木先生が間に入ってくれて、すぐに引いてくれたました」

 高木先生と私が言った瞬間、透空さんの肩がピクっと反応した。
 そうだ。
 透空さんと高木先生って、仲が良くないんだっけ?
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