天才外科医からの求愛〜傷跡ごと甘く癒されて〜
「良いじゃん。俺たち二人だけの秘密の話」

「はっ?」

 高木先生はわざと透空さんを煽っているみたいだ。
 こう見ていると二人とも普通の青年くらいに見える。
 すごい先生たちなのに。

「雫羽、行くぞ」

「はい」

 私は高木先生に軽く会釈をして、透空さんとお昼に向かう。

・・・

「えっ。本当ですか?」

「ああ。連休を取ろうと思って。雫羽とゆっくり過ごしたいから。どこか遠くに行こう」

 これってはじめての旅行ってやつじゃないか?

「嬉しいです」

 でもまた呼び出しとかあるかもしれない。
 そんなことを考えてしまったが
「その二日間は絶対に病院に戻らないって予め言っておく」
 透空さんは、だから大丈夫だと言ってくれた。

 好きな人との旅行、楽しみすぎる。

「俺も考えておくから、雫羽もどこに行きたいか考えておいて」

「はい。わかりました」

 透空さんと長い時間、一緒に居られるんだ。
 どこに行こう。
 私の行きたいところっていうよりは、透空さんの行きたいところを優先したいな。

 帰宅中、そんなことをぼんやりと考えていた。
 今、私ってすごく幸せだ。
 仕事も充実しているし、大切な人もできた。
 明日のお昼は透空さんに何を作ってあげよう。
 食べたいものを聞いておけば良かったな。

 駅構内、乗り換えのため、帰宅ラッシュの人混みの中を一人歩いていた。

 いつも通っている階段を下りようとした時――。

 ドンっと背中を誰かに押された。
 階段を踏み外し、一瞬空中に浮いている感覚がし、時が止まる。

 身体がドンドンドンドンドンと衝撃を受ける。
 鈍い痛みが身体中に広がる。
 頭が階段にぶつかり、反動で顎が動いた。

 頭から熱いものが流れている、そんな感覚がした。

 私、また……。
 透空さんの顔を思い出した瞬間、頭が真っ白になった。

・・・―――
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