天才外科医からの求愛〜傷跡ごと甘く癒されて〜

最悪の連絡(風見透空side)

 今日は何事もなく帰れそうだ。パソコンに向かい、患者の記録を入力していた。
 その時、電話が鳴り<救急ですが、受けられますか?>救急担当の看護師からだった。

 今日も残業か。仕方がない。
 雫羽とゆっくり過ごすために、ここは頑張っておくか。

「どんな状況?」

<それが受け入れ先がなかなかないみたいで。かなり危険な状態らしいんです。駅の階段から転落したみたいで。頭を打っている可能性が高くて>

「脳外の先生が良いって言ったら、受けるよ」

 さすがに頭の中は専門医の方が良いだろう。

<わかりました。それが患者さんはうちの職員らしくて>

 ドクンと嫌な鼓動が鳴る。
 うちの職員なんて、何百人もいるのに。急に雫羽の顔が思い浮かんだ。

「名前、聞いてるか!?」

<光藤さんって女性です>

 雫羽が!?どうして!?なんで雫羽なんだ!!

「俺が対応する。脳外にも俺が相談するから、受けるって伝えてくれっ!」

 救急車が搬送される、救急外来へ向かう。脳外の医師には俺が直接相談し、OKをもらった。

 冷や汗と動悸が止まらない。
 救急隊からの情報から、かなり深刻な状態であることを伝えられた。
 頭部打撲に裂傷。骨折もしていそうだ。
 意識はないらしい。

 サイレンの音がする。

「雫羽っ!!」

 救急車の中、担架の上に乗っていたのは、雫羽だった。

「雫羽っ!」

 酸素マスクを着けている彼女に声をかけるも全く反応がない。

「目を開けてくれ!」

 ズキンと頭が痛くなる。
 あまりの痛さに目を閉じる。頭の中に《《ある映像》》が流れてきた。

<ディヤ!起きてくれ!頼む!医者はいるか!?>

 俺に似た人物が必死に叫んでいた。

<医者はいないのか!!>

 俺に似た男は、周囲を見渡すも反応は冷ややかなものだった。

<どうしてだっ!>

 映像が止まった。
 俺は……。
 《《また前世》》と同じことを繰り返そうとしているのか!?
 なんのために医者になったんだ。
 大切な人を今度は助けるためだったんじゃないのか!?

「風見先生、落ち着けよ」

 俺の肩をがしっと掴んだのは、同じ外科医の高木だった。

「そんな状態じゃ、救えるものも救えないよ」

 わかっている。
 俺は数回深く深呼吸をする。

「絶対助けるから」

 目を閉じて反応がない雫羽に声をかけた。
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