天才外科医からの求愛〜傷跡ごと甘く癒されて〜
二日後――。
私は少しずつ起きている時間が多くなった。
身体がかなり重く、思ったように動かせないけど、少しずつ良くなっている気がする。
高木先生が来てくれる時間が私の唯一の楽しみになっていた。
「雫羽ちゃん!どう?調子は?」
ニコニコと笑みを浮かべては、私の隣へきて、とりとめのない話をしてくれる。そういえば、最近、風見先生があれから病室に来ない。
「あの、風見先生って……」
私が名前を出すと
「いいの。あいつのことは!超人気外科医だからね。忙しいんだよ。気にしなくていいから」
高木先生は風見先生の話題が嫌いのようだ。同じ外科医だから羨ましいとかあるのかな。
高木先生は時間を見つけては会いに来てくれるけれど、事故以降、感じている虚無感が埋まらない。
目覚めてから心がザワザワするんだ。早く記憶が戻ればいいのに。
・・・・
真っ暗な処置室に懐中電灯の明りだけが一つ灯される。
深夜、人が少ない夜間を狙い、次の日に投与される点滴セットを確認している人物がいた。
<あった……!>
目当ての名前を発見し、ポケットに忍ばせていた注射器を取り出し、点滴パックの混注口へ液体を注いだ。
それをそっと元の場所に戻す。
<これで明日、あの女は……>
病院にある監視カメラの場所をこの数日間調べ、疑われることなく患者が急変するような医薬品を独自に調べていた。完全犯罪を狙っていたのだ。
さっと出口へ向かおうとする。
今の時間は、看護師が見回りと交代の時間で動きが不規則だ。
その間に退勤をしようと考えていたその時――。
パッと急に部屋の電気がついた。
「なにしているんだ?《《宮下》》」
凍るように冷ややかな声音。
明りがつき、看護師の宮下は目を細めた。
「な、な、何もしていません」
思わずあとずさりしてしまった宮下の前には、外科医の風見透空が腕組みをしながら立っている。目つきは鋭く、怒りが伝わってくる。
「証拠は撮ってある。警察と協力して、隠しカメラを設置していたんだ。ここはプライベート空間ではないから。設置するための許可は簡単に通ったよ」
「どういう意味ですか?」
宮下の唇が震えている。
「雫羽を突き落としたのはお前だな。失敗したからって、今度は点滴に薬剤を入れて殺そうとしただろう?」
透空は雫羽に届けられるはずだった点滴パックを見ている。
「ま、手元はカメラに映っているから。何を混ぜようとしたかは、注射器を調べればわかるな」
宮下は透空の言葉を聞き、床に崩れた。
「どうしてですか?私はずっとあなたのことを愛していたんです。ずっと前から、前世から……」
「お前が前世でも関わっているのか。お前さえいなければ、ディヤは……」
透空はそれ以上話すことをやめた。カメラ映像に会話が録音されている。
前世の記憶、一般の人間が信じられないような話をするのは得策ではないと考えたからだ。
「通報する。そこを動くな」
宮下は透空の指示を受け入れ、うずくまったまま警察が来るのを透空に監視されながら待つ。
「私は現世でもあなたと結ばれないんですね」
警察が来て、連れて行かれる際に、宮下は透空を見つめ、力なく悲しそうに最後の言葉を残した。
透空は同情することなく、ただ宮下に対しての強い怒りと憎しみだけが溢れる。同時に雫羽を危ない目に遭わせてしまったのは自分が原因であると深く自責の念を抱いた。
「俺が雫羽の近くにいたら、不幸になってしまうかもしれない」
帰宅したあと、ベッドの上で呟いたのは、自分が彼女の近くにいたら何かの因果がこれからも彼女が危険な目に遭ってしまうのではないかという不安だった。
「俺がいない方がいいのかもな」
私は少しずつ起きている時間が多くなった。
身体がかなり重く、思ったように動かせないけど、少しずつ良くなっている気がする。
高木先生が来てくれる時間が私の唯一の楽しみになっていた。
「雫羽ちゃん!どう?調子は?」
ニコニコと笑みを浮かべては、私の隣へきて、とりとめのない話をしてくれる。そういえば、最近、風見先生があれから病室に来ない。
「あの、風見先生って……」
私が名前を出すと
「いいの。あいつのことは!超人気外科医だからね。忙しいんだよ。気にしなくていいから」
高木先生は風見先生の話題が嫌いのようだ。同じ外科医だから羨ましいとかあるのかな。
高木先生は時間を見つけては会いに来てくれるけれど、事故以降、感じている虚無感が埋まらない。
目覚めてから心がザワザワするんだ。早く記憶が戻ればいいのに。
・・・・
真っ暗な処置室に懐中電灯の明りだけが一つ灯される。
深夜、人が少ない夜間を狙い、次の日に投与される点滴セットを確認している人物がいた。
<あった……!>
目当ての名前を発見し、ポケットに忍ばせていた注射器を取り出し、点滴パックの混注口へ液体を注いだ。
それをそっと元の場所に戻す。
<これで明日、あの女は……>
病院にある監視カメラの場所をこの数日間調べ、疑われることなく患者が急変するような医薬品を独自に調べていた。完全犯罪を狙っていたのだ。
さっと出口へ向かおうとする。
今の時間は、看護師が見回りと交代の時間で動きが不規則だ。
その間に退勤をしようと考えていたその時――。
パッと急に部屋の電気がついた。
「なにしているんだ?《《宮下》》」
凍るように冷ややかな声音。
明りがつき、看護師の宮下は目を細めた。
「な、な、何もしていません」
思わずあとずさりしてしまった宮下の前には、外科医の風見透空が腕組みをしながら立っている。目つきは鋭く、怒りが伝わってくる。
「証拠は撮ってある。警察と協力して、隠しカメラを設置していたんだ。ここはプライベート空間ではないから。設置するための許可は簡単に通ったよ」
「どういう意味ですか?」
宮下の唇が震えている。
「雫羽を突き落としたのはお前だな。失敗したからって、今度は点滴に薬剤を入れて殺そうとしただろう?」
透空は雫羽に届けられるはずだった点滴パックを見ている。
「ま、手元はカメラに映っているから。何を混ぜようとしたかは、注射器を調べればわかるな」
宮下は透空の言葉を聞き、床に崩れた。
「どうしてですか?私はずっとあなたのことを愛していたんです。ずっと前から、前世から……」
「お前が前世でも関わっているのか。お前さえいなければ、ディヤは……」
透空はそれ以上話すことをやめた。カメラ映像に会話が録音されている。
前世の記憶、一般の人間が信じられないような話をするのは得策ではないと考えたからだ。
「通報する。そこを動くな」
宮下は透空の指示を受け入れ、うずくまったまま警察が来るのを透空に監視されながら待つ。
「私は現世でもあなたと結ばれないんですね」
警察が来て、連れて行かれる際に、宮下は透空を見つめ、力なく悲しそうに最後の言葉を残した。
透空は同情することなく、ただ宮下に対しての強い怒りと憎しみだけが溢れる。同時に雫羽を危ない目に遭わせてしまったのは自分が原因であると深く自責の念を抱いた。
「俺が雫羽の近くにいたら、不幸になってしまうかもしれない」
帰宅したあと、ベッドの上で呟いたのは、自分が彼女の近くにいたら何かの因果がこれからも彼女が危険な目に遭ってしまうのではないかという不安だった。
「俺がいない方がいいのかもな」