天才外科医からの求愛〜傷跡ごと甘く癒されて〜
 今すぐ、透空さんに会いに行かなきゃ。
 どこにいるんだろう。
 夜中、まだ彼は残っている?
 車イスで探しに行ったら迷惑?

「そうだ!」

 卑怯なやり方だとは思いながらも、ゆっくりとスマホをタップし、透空さんへメッセージを送る。

<会いたいです>

 透空さんからメッセージの返事は来るかな。
 もう帰ってしまった?
 それともまだ仕事中?
 私のこと避けているのかな。

 返事を待つ時間はとても長く感じる。
 枕の隣にスマホを置き、通知音が鳴るのを待つ。

 その時
<トントントン>
 部屋をノックする音が聞こえた。

 きっと透空さんだ!

 ドキドキしながら
「はい」
 返事をする。

 ドアが開き、訪ねてきた相手を見ると――。

「高木先生?」

 透空さんかと思った。
 だけど、高木先生だった。

「まだ起きてた?」

 高木先生はベッドサイドのイスに座る。
 どうして高木先生は、私に嘘をついたの?

「はい」

 どう話を切り出して良いのかわからず、返事をすると
「どうしたの?元気ないね」
 高木先生が私の手に触れようとしたため
「やめてください」
 思わず拒否をしてしまった。

「雫羽ちゃん……?」

 高木先生はどこか悲しそうな瞳をしている。
 何かを理解し、悟ったように。

「どうして私と付き合っていたなんて嘘をついたんですか?」

「……。急にどうしたの?」

「私、記憶が戻ったんです。私が好きだったのは、風見透空さんです。高木先生とはお付き合いしていません」

 高木先生は、一瞬間を置いたあと
「そう。戻ったんだね。」
 高木先生は覇気のない声でそう言い
「記憶なんて戻らない方が良かったんだよ。俺が幸せにしてあげたのに」
 悔しいなと呟いた。

「俺、風見先生とは同期で。いつも比べられてた。あの人には敵わなくて、いつも悔しかった。せめて何かで勝ちたいと思っていた時に、風見先生が雫羽ちゃんのことが好きだってわかって……」

 高木先生は息をふぅと吐き出したあとに
「盗ってやろうと思ったんだ。風見先生の大切にしている雫羽ちゃんを」
 悔しそうに笑う。

「だけど、雫羽ちゃんを知るうちに、本当に好きになっちゃいそうだった。ただ守られている子じゃなくて、芯の強い子だってわかって惹かれていたのは本当だよ」

 高木先生は、本音を言ってくれているみたいだった。

「記憶がなくなったことは、都合が良かった。一からリセットされたと思って」

 高木先生は、ビクッと肩で息をして
「彼氏、俺にして?」
 強引に私の手を取り、手の甲にキスをしようとした。

 咄嗟に反応できない身体でも、言葉だけは発せられたから
「やめてくださいっ!」
 頑張って手を引こうとしたその時――。

 ガラッと勢いよく病室の扉が開き
「やめろっ!」
 透空さんが立っていた。
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