天才外科医からの求愛〜傷跡ごと甘く癒されて〜
 私はそのまま彼にギュッと抱きついた。

「嫌ですっ。離れませんからっ。絶対。来世は幸せにしてくれるって言ったじゃないですかっ!!それにずっと一緒にいるって、約束するって言ったの透空さんでしょ!?私、このままずっと離れない」

 涙が出てきた。
 嗚咽交じりだ。ディヤだった時の記憶も思い出して、感情が抑えられない。
 ただ私は、透空さんといるだけで幸せ。

「それに、死ぬ時は一緒だって言ったのも透空さんですっ」

 あああぁと泣く私に
「雫羽。落ち着いて」
 優しく背中をポンポンと叩いてくれたり、擦ってくれた。

 透空さんは
「ごめん。本当に雫羽のことが大切だからこそ、離れた方が良いって思ったんだ。過去のカルマってやつを気にして、俺らしくない弱気にもなってた」
 サラっと頭を撫でてくれる透空さんの声は、どこか弱弱しくて、いつもの俺様な彼ではない。

「雫羽が俺を必要としてくれるなら、ずっと一緒にいる。約束したから。気持ちは変わってない。俺は雫羽のことが好きだ」

「約束ですよ、もうそんなこと言わないでください」

 記憶を失くしてしまった私が悪いのに。
 透空さんを責めるようなことを言ってしまって申し訳ないと思っている。

 透空さんと一緒なら幸せになれないなんてジンクスは信じない。
 今の私が変えるんだから。
 前世から約束していたんだ。今度は二人で幸せになるって。
 
 透空さんは私の頬の涙を指先で拭いてくれ、そのままゆっくりと唇にキスをしてくれた。
 まだ私の下にいる透空さんの頬を片手で押さえ、私からもキスをする。

「んっ……」

 ああ、だんだん頭が真っ白になってくる。
 舌の感触が気持ち良くて。

「……。雫羽。これ以上はダメ。いろんな意味で」

 透空さんは私の身体を労わりながら、ゆっくりとベッドへ戻してくれた。

「転んだけど、痛いところない?」

「大丈夫です。透空さんが支えてくれたんで。透空さんこそ、痛いところないですか?」

「大丈夫だ」

 クスっと笑ってくれた彼は、いつもの彼に戻ったようで
「それにしても、高木。あいつマジで許さねー」
 高木先生のことを思い出し、眉間にシワを寄せていた。

 高木先生が別れ際に伝えてくれたのは、きっと本音なんだと思う。
 悪い人ではない。
 ただの勘だけど、そんな気がする。

「雫羽。これからは毎日来るよ。一緒にリハビリ頑張ろう」

「はい」

 私はその日の夜、透空さんからいろんなことを教えてもらった。
 宮下さんのこと、アニル様であった前世の記憶を思い出したこと、そして最後は私を追って亡くなったこと……。

 ディヤであった私とアニル様であった透空さんが再び結ばれることって相当な奇跡なんじゃないかと思う。

 前世の私たちの強い気持ちがあったから、現世でもまた出会うことができたんだよね。
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