天才外科医からの求愛〜傷跡ごと甘く癒されて〜
 次の日。
 病室に警察の人たちが来て、宮下さんが逮捕されたことを伝えてくれた。
 容疑は私の点滴に薬物を混入させ殺害しようとした罪、それに、階段から私を突き落としたのも彼女だと捜査をしているらしい。
 
 宮下さんも<自分がやった>と自白しているみたい。
 
 もしかしてと思って、透空さんにあとから聞いてみたら
「辛いことを思い出してほしくなかったら黙っていたけど、宮下は前世でディヤを殺した女だ」
 って、透空さんが教えてくれた。

 宮下さんにも前世の記憶があったなんて。
 全然わからなかった。
 
 宮下さんの事件がワイドショーや新聞、週刊誌、いろんなところで取り上げられ、病院側の対応も忙しそうで申し訳なく思っていたら<雫羽のせいじゃない。あいつのことはもう考えるな>透空さんからそう言われたから、あまり考えないようにしている。

 一か月後――。

 私は以前のように一人でも歩けるようになった。
 病院勤務は休職していて、実は今、透空さんの家で同棲をしている。

「部屋、余っているから。それかもっと広いところに引っ越すか?」

 透空さんはサラっとすごいことを提案してくれたけれど、今の透空さんの家も広すぎるくらいだから、私が引っ越すような形をとった。

 急患が多くてどんなに疲れていても、透空さんは
「ただいま」
 優しい笑顔で帰ってきてくれる。

「雫羽。最近、体調はどうだ?あんまり無理するなよ。家事だってそんなに頑張りすぎなくて良いんだから」

 洗濯物を畳んでいる時に、お風呂からあがった透空さんが様子を見に寝室へきてくれた。

「無理なんてしていないです。透空さんのおかげでゆっくり休ませてもらっているから。身体も心も安定しています」

 次回の診察で、脳外科医の先生からOKが出たら、職場に復帰しようと思っている。

 なのに透空さんは、私には過保護で
「まだ休んで良い。いや、もうずっと家に居てほしい」
 そんな風に言ってきたから
「どうしてですか?」
 職場の中に彼女がいることが嫌なのかと思って聞いてみたら
「高木みたいな奴もいるから。雫羽が誘惑されたら困る。てか、男と話しているだけで嫌だ」
 なんて透空さんらしい束縛めいた発言が返ってきた。

「大丈夫ですよ。私が好きなのは透空さんだけですから」

 家の中では時折可愛らしい部分もあって、ムッと口を結んで私の肩に頭をコツンと寄せてくる透空さんは私だけに見せる彼の姿だ。

「ていうか、透空さんの方が心配ですよ。かなりモテるんですから」

 病院に通院すると、たまに聞こえてくる患者さん同士の会話がある。
<外科医の先生がみんなかっこ良い>って。
 透空さんと高木先生のことだよね。
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