天才外科医からの求愛〜傷跡ごと甘く癒されて〜
「俺は雫羽しか好きにならない」

 そっと引き寄せられ、頬にチュッとキスをされる。
 私はそのまま透空さんに抱きついた。

 ああ、幸せ。安心する。
 お風呂あがりの透空さん、良い匂いがする。

 彼の首筋に私の息が当たったのか
「雫羽。すげー嬉しいんだけど、身体が反応する」
 透空さんがボソッと呟いた。

「えっ?」

 そう言えば、私の身体のことを気遣って、事故から一度もカップルとしての営みがない。
 透空さんはお医者さんだから、私の身体が<大丈夫>ってわかっていたら、誘ってきそうな気もするけれど。

 心の心配もしてくれているのかな。

 正直、私も階段から落ちた時に、大きな傷ができてしまって、お風呂の鏡でそれを見るたびにまだ心が痛くなる時がある。

 こんな傷だらけの身体を見て、透空さんは萎えたりしないのかななんて、思ってしまったり。

「どうした?」

 私が黙っていると心配そうに顔を覗き込んでくれた。

「いえ、なんでもないです」

 ハハッと笑って誤魔化す私は、透空さんの瞳にはどう映ったんだろう。


 次の日、弁護士の先生からの郵便物が届いた。内容を確認する。

「やっと終わった」

 元彼である優馬の妻、夏子さんとの和解が成立した。

 結局
「俺が立て替える」
 なんて言って、私が入院中に透空さんが弁護士費用もろともすべて支払ってくれた。

「元彼からお金が返ってきたら、それで返してくれれば良いから」

 なんて言ってたのに、透空さんは受け取ってくれそうにない。
 
 透空さんとの出会いも、あの最悪な一日から始まっているんだよな。 
 優馬と一緒に行ったレストランには、透空さんの友人がシェフで働いていて、休暇の時によく一人で食事に出かけていたそうだ。

 あんな風に出逢って、今はこんなにも大切にしてくれて。 
 前世でも繋がっていた人だなんて、本当にこんな運命的なことってあるんだなって思う。

「雫羽。明日、一緒に行きたいところがあるんだけど」

「はい。もちろん。透空さん、お休みでしたっけ?」

「ああ。振り替えで休みになった」

 透空さんが行きたいところってどこだろう。
 私が尋ねても、彼は<秘密>とだけ答えてくれただけだった。

 次の日、当日になっても教えてくれない場所に、ちょっとだけドキドキしながら、夕方を過ぎた頃から透空さんの運転する車に乗り、しばらくドライブをした。

 高速道路に入り、一時間くらい走ったあと、あるパーキングエリアに停まる。

「降りようか?」

 言われるがまま、透空さんの手を取り、歩く。
 パーキングエリア内の公園を歩き、しばらくすると、目の前には街の光と星空が目の前に広がった。

「わぁ。綺麗」

 たしかここって、綺麗な夜景スポットで有名なところだっけ。
 前にネットで見たことがある。
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