身代わりの結婚は本当の愛のために
昨夜――。
「詩乃の結婚が決まった」
ここ二年、家を出ていて、滅多に連絡がなかったが、昨夜、父から電話があった。呼び出されて実家に戻っていた私は、目の前の豪華な料理を食べ進めながら、ただその言葉を聞いていた。
都内の閑静な住宅街にある、白を基調とした大きな邸宅。ヨーロッパ風の外観に、アイアン装飾の門と、手入れの行き届いた芝生。そして門の両脇には、母が海外で買い付けたという大理石の彫像。近所の家と比べても、ひときわ目立つその家は、どこか 〝豪華さ〟を無理に見せつけているようだった。
久しぶりにリビングに足を踏み入れると、派手好きな母好みの豪華なティーカップや美術品が並び、ますます装飾が増していた。デザインとは無縁の、高価なものをただ集めたような場所としか思えない。