身代わりの結婚は本当の愛のために
 私だって、好きでこうなったわけではない。けれど、たった数分早く生まれただけで、詩乃は小さい頃から両親の愛情を一身に受け、それが原因かどうかはわからないが、私をずっと下に見るようになった。
 中学に上がった頃から、それはさらに顕著になり、少しでもおしゃれをすると、嫌な顔をして嫌味を言うようになった。

『真白に似合わない』
 初めの頃は、「同じ顔なのに」と言い返したが、気が強く、すぐに癇癪を起こす詩乃に対しては、あきらめた方が早いと悟るようになった。
「おめでとう」
 ありきたりな言葉を紡いだ私に、あきらかに目の前の詩乃は表情をゆがめた。

「それだけ?」
 不満げな詩乃の声に、私は「またか」と心の中でため息をつきつつ、笑顔を貼り付けた。

「さすが詩乃ね。久遠グループに見初められるなんて」
 形式的にそう答えただけだったが、そんなことには気づかないようで、詩乃はようやく納得したように笑みを浮かべた。
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