身代わりの結婚は本当の愛のために
「そうよ、広告にも出てあげられるし、私だったら久遠をさらに大きくできると思ったのよね。それに、うちとしてもかなりのご縁よね」
 上から目線のその言葉に、些か不安を覚えるが、私には関係のないことだ。そう思っていると、父が満足そうに詩乃を見た後、私へと視線を移した。

「来週の日曜に両家の顔合わせがある。お前も参加しなさい」
 もちろん、今は忙しい時期で仕事を優先したかったが、そう言ったところでなにも変わらないし、叱られるだけだろう。

「わかりました」
 それだけ答えて、私は早く帰りたくて、目の前の料理を口へ詰め込むように食べる。せっかくの美味しい料理に申し訳ないと思いつつ。

 食事だけ終え、すぐに家に帰った私は、気づかないうちにため息が零れていた。
顔合わせは、都内の久遠グループが経営するホテル系列「ブランシュ・ロワイヤル」。格式高く、ⅤⅠPも多く利用するホテルだ。そこで顔合わせを行うとなれば、それなりの準備も必要になるだろう。
「めんどくさいな……」
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